【もっと自慢しようよ 新潟②】料理研究家 田中稔子さん 後編
せっかくおいしくて栄養のある食材も、調理の仕方次第では、その魅力を生かせないこともある。「一生懸命作ってくださる農家さんの素材だからこそ、上手に使いこなしたい」という料理研究家の田中稔子さんからのアドバイスをお伝えします。
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せっかくおいしくて栄養のある食材も、調理の仕方次第では、その魅力を生かせないこともある。「一生懸命作ってくださる農家さんの素材だからこそ、上手に使いこなしたい」という料理研究家の田中稔子さんからのアドバイスをお伝えします。
●素材を生かす「ひと手間」の魔法
「料理は時間がかかるもの」と思われがち。そして最近は、調理に「時短」や「映え」を意識しがちだ。けれど、本来は生きるエネルギーを作ること。「素材のおいしさを引き出すための調理にも目を向けてほしい」と田中さんはいう。
ホウレンソウなどの青菜をゆでるとき、ただ柔らかくするだけでなく、たっぷりのお湯でゆでることで、体に残ってほしくないアク(シュウ酸)をお湯に溶かし出すという意味がある。時短だけを追い求めるのではなく、昔からされている料理の方法にこそ、素材本来のおいしさを引き出す知恵が詰まっている。レンジでチンではなく、時間がある時にちょっとゆでておく、ちょっと水に浸しておくといった積み重ねで、日々の食卓は豊かになるのだ。
●食育は、農業の未来を守る土台
田中さんが開く子ども向け料理教室では、「本物体験」にこだわっている。煮干しと昆布からとっただしを使い、佐渡の乾燥わかめを戻して大きさの変化を見せたり、手の上で豆腐を切らせたりしながらみそ汁を作る。すると、一口飲んだ瞬間に「おいしい!」と声が上がる。キュウリとワカメの酢の物やさっとゆでてかつお節と醤{{しょう}}油{{ゆ}}をかけただけのブロッコリーを競うように食べる。「家では絶対に野菜を食べない」と言われていた子でも素材のうま味がわかる料理なら、もりもりと平らげる。
「給食の予算が厳しい現状には疑問が残りますが、これから体を大きくしていく子どもたちの健康を守るためにも、幼少期にしっかりとした味覚のベースと本物の食の思い出を作ってあげることが、子どもたちの大切な財産となります。時代がどれだけ変化しても、人は食と切り離して生きることはできません」
新潟の豊かな食文化は、自然の恵みだけでなく、生産者の努力と先人たちの知恵によって支えられている。その価値を知り、伝え、味わうことは、地域の食文化を未来へつなぐことでもある。「農家さんの顔が見える、思いが伝わるような場所がどんどん増えるといいですね」と田中さんは期待を込める。
(写真・文 フリーライター・大平マミ)
(次回は10月23日付)










