北海道で最も小さな村から全国へ 音威子府村・名徳知記さん



北海道で最も人口が少ない自治体、音威子府村。村で唯一の酪農家、名徳 知記さん(36)が開いたジェラート専門店が評判を呼んでいる。磨き抜かれた理論から生まれるその味は、ふるさと納税の返礼品や全国
北海道で最も人口が少ない自治体、音威子府村。村で唯一の酪農家、名徳 知記さん(36)が開いたジェラート専門店が評判を呼んでいる。磨き抜かれた理論から生まれるその味は、ふるさと納税の返礼品や全国の物産展でも注目の的だ。
知記さんの武器は、飽くなき探究心だ。「ジェラートは乳脂肪分などの数値が厳格に決まっている理論の世界」と語る知記さんは、本場イタリアを巡り、味を追求する。めざすのは、口に含んだ瞬間に香りが最も華やぐ「マイナス13℃」の口溶けだ。現在、そのレシピは90種類にものぼる。
素材への妥協も一切ない。原料の生乳は、放牧と飼料配合にこだわった自らの牧場産だけ。風味として使うトウモロコシやイチゴなどの生産者に対しても、同じプロとして真剣勝負で挑む。「安くしてくれとは絶対に言わない。代わりに、その価格に見合う、客を納得させられる『ストーリー』を見せてほしい」。そんな厳しい注文が、唯一無二の味を支えている。
大阪府出身の知記さんは、幼少期「お菓子の国に住むこと」を夢見る甘党だった。旅で訪れた北海道に魅了され、北海道大学へ進学。修士論文で「新規農業参入希望者の研修」を研究する中で出合ったのが、就農者を探していた音威子府村だった。
大学院修了間際に同級生だった妻の奈保さん(35)と結婚。2年間の研修を経て、2017年に第三者継承により牧場経営をスタートさせた。村は当時、夫妻の受け入れに向けて条例を改正するなど、総力を挙げて支援したという。
「村への感謝を忘れたことはない」と知記さん。所有する80㌶のうちの一部を放牧地として利用し、ホルスタインとジャージー種、合わせておよそ30頭を搾っている。








