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【ネーミング&ブランディング⑥】固有名称を進言した狙いとは

2026年10月16日
     
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 ネーミング技法にはいろいろあるが、中でも難しいのは「合体・反転・削除・変換」だろう。そこで今回は川場村産米の「雪ほたか」を例に挿(そう)話(わ)も交えて解説したい。


 もう20年ほど前のことになる。同村では新たな農業振興策を模索していて、筆

 ネーミング技法にはいろいろあるが、中でも難しいのは「合体・反転・削除・変換」だろう。そこで今回は川場村産米の「雪ほたか」を例に挿(そう)話(わ)も交えて解説したい。


 もう20年ほど前のことになる。同村では新たな農業振興策を模索していて、筆者も農業戦略の指導で何度か訪れた。


 その際、筆者から提案したのは――村の農業を全域で捉えず、栽培特性から地域を「稲作・果樹・野菜」に区分。折しも「米の偽装問題」が生起している頃、これを好機にまずは稲作に施策を集中して――といった構想だったが、それと合わせて村に強く進言したのが「地場産米に固有名称を付ける」ことだった。


 もちろんブランド化への志向もあるが、実はもう一つの狙いもあった。


 当時、同村ではすでに地元稲作農家の十数人が全国規模の米コンクールに出品して一定の成績を収めていた。しかし、いずれも個人名の出品で、仮に誰かが今年入賞しても来年、再来年と連続入賞するのは難しい…。


 だが、全員が同じ固有名称で出品するなら、その中の誰か一人が入賞すれば、入賞者一覧にはその名称が記されるのだから「毎年連続入賞」のレッテル貼りも夢じゃない…そんな狙いだった。


 そこで同村では住民から名称案を募集。だが、決定打なく、後日に担当者が応募案の一覧を持って相談にやって来た。


 それを見ると「?」と思う案が大方だったが、比較的多用されていたのが「武尊山」と「雪」という言葉だったので、その場で考えて筆者から担当者に提案した名称が「雪ほたか」だった。


 まずは合体で「武尊山の雪」、反転して「雪の武尊山」、さらに削除で「雪武尊」と短縮して、変換で「雪ほたか」とした、4段階の技法展開だ=写真。


 特に「ほたか」とひらがなに変換したのには別の思惑もあった。武尊山よりも認知度が高く、美しい雪山の風景写真でよく知られる北アルプス「穂高岳」を連想させたい…との思惑だ。


 だが――その後、担当者からは梨の礫(つぶて)で、さらに1年半を過ぎた頃…。


 別件で同村の村長(当時)に会うと開口一番「先生、おかげさまで…」と丁重に謝辞を述べられ、「はて何の事?」と思ったら「雪ほたかの名称でやっと商標登録できました~!」と。


 これにはただ唖(あ)然(ぜん)として、苦笑いするしかなかったが――この名称話にはまだ続きがある。


(つづく)


 事業戦略構築研究所AX 代表 髙木響正

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