⑴農政の基本となる農地法が制定される前年、1951年(昭和26)に、農業委員会が、創設された。


 それまでの農政を担ってきた三つの委員会を統合して、創設されたものだ。一つ目は「農地委員会」で、歴史上例のない大規模な農地改革を驚くべきスピード

 地域おこし協力隊の成果というと、起業や新商品の開発、観光客の増加など、目に見える成果が注目されることが多いと思います。しかし、地域づくりの現場では、それ以外にも大切な変化があります。それは、地域の人たちの意識に変化が始まっていくことです。


 富山市農業委員会(長谷幹夫会長、71)では、市独自の農地マッチングの仕組みを構築した。農業委員と就農希望者の話し合いから生まれたアイデアで、農地を使いたい人、農地を使ってほしい人などの登録者数は徐々に増えているという。


 同市農業委員会が仕組みづくりを進めたのは、「農地と人のマッチング事業」だ。農地の「利用希望者」と「提供希望者」の間を農業委員会が仲介する。


 利用希望者は、希望地域、耕作する作物・栽培方法などの条件を登録する。提供希望者は所在地や面積、農地の提供方法などを登録。委員会は、進入路や水路、農地の現況といった営農環境も確認し、全ての条件を精査する。条件が合えば双方に情報を提供し、直接交渉をしてもらい、お互いが納得すればマッチングが成立する。その後は、農地法3条、または農地中間管理機構法の手続きを進める形だ。


 同事業誕生のきっかけとなったのは就農希望者からの声だった。県の就農準備校である「とやま農業未来カレッジ」の研修生と農業委員が2025年の夏、意見交換会を開催。現在の日本の農業では、すぐに農業を始めたい就農希望者が農地を確保しにくい、という現状が浮き彫りとなり、「農地を使いたい人と、農地を使ってほしい人をつなぐ仕組みが必要ではないか」という考えが生まれた。同市農業委員会ではすぐに着手し議論を重ね、25年末に形となって同事業がスタートした。


 同事業には今年8月時点で7件の利用希望と18件の提供希望が寄せられている。登録者数は増えており、交渉も始まっているという。


 課題も見えてきた。同市農業委員会の担当者は、「『すぐに農業を始められる』『現在も耕作されている』『草刈りなどの簡単な手入れですぐに利用できる』などの農地を求める利用希望者に対して、高齢化や離農などで耕作できなくなった農地の管理や譲渡を希望する提供希望者との間で隔たりがある」と分析する。


 課題が浮かびあがる中、同市農業委員会では、農地を探す就農希望者と離農や規模縮小を考える農業者の双方が、より相談しやすい仕組みにし、地域農業の担い手確保につなげたいと考えている。「求められる農地と提供される農地の条件を正確に把握し、マッチングにつなげたい。農地の現況や所有者の意向が変わることもあるため、適切に登録情報を更新していかなければならない」と担当者は語る。


 長谷会長は今後の取り組みについて、「新規就農者には今まで培った経験やこれから吸収する農業の知識を活かし、農業者として成長してほしい。本事業を利用してもらい相性が良い農地が見つかれば」と期待を込める。

Q:山林化してしまった隣の農地の所有者が、農業委員会から非農地判断されたため、うちの農地は農地ではなくなったと話していました。非農地判断とはどのようなもので、どのような農地が対象になるのでしょうか。また、所有者の意向は考慮してもらえないので

 地域おこし協力隊制度を農業分野で活用すると聞くと、多くの人は「担い手不足を補う制度」という印象を持つかもしれません。しかし、それだけでは地域おこし協力隊制度が持つ本来の価値を十分に活かしているとは言えません。


 ある自治体では、特産品である

 市内全域の農地が市街化区域の東村山市は生産緑地が多く、独自の“農地バンク”を都内でいち早く設置した。貴重な農地を保全しようと、東村山市農業委員会(鈴木八百造会長、農業委員14人)が中心となりJAや市とともに貸借の意向を収集する。また、同市農業委員会では情報提供活動にも力を入れる。


 東村山市は、東京の北西部に位置する人口約15万人の都市。狭山丘陵の八国山緑地や多摩湖に接した狭山公園など緑豊かな里山には武蔵野の面影が残る。


 市内は農地の全域が市街化区域になっており、農地約132㌶のうち86%が生産緑地に指定され、特定生産緑地の指定率は83%を超える。


 市では、都市農地貸借円滑化法が制定された2018年から4年後の22年1月に、同法を基にした市独自の農地バンク制度を創設。都内でいち早く貸借のマッチングを制度化した。以来、26年6月末現在で同法による同市内の農地貸借は12件、合計面積は3㌶にのぼる。


 同バンク制度は、農業委員会とJA、市の3者が事務局となり生産緑地の貸借を支援。事務局がそれぞれの強みを活かした役割分担を行う。市は制度説明や情報管理を担い、JAは営農指導の機会に情報を集める。農業委員は担当地域に密接な立場として農業者からの相談を引き受けている。


 マッチングの肝となるのは農地所有者(貸付希望者)と借受希望者の条件の把握だ。登録の際、借受希望者は経営概要のほか、農薬の使用、露地か施設かなどの栽培体系の細かな条件を記入する。貸付希望者は貸し付け相手となる者の条件(市内・外、個人・法人、認定農業者かどうかなど)を記入する。それぞれの希望に沿った貸借を実現することで、貸借後のトラブルの防止にもつながっているという。


 同市農業委員会では、情報提供にも力を入れている。


 毎年10月ごろに、市内の経営者組織「東村山市農業者クラブ」やJAとともに、農家座談会を市内5地区で共催。農業委員会の活動報告のほか、農地バンクや補助事業の説明、全国農業新聞と農業者年金の推進も行う。25年度は農業者ら延べ100人が参加した。


 また、市農業者クラブでは、市議会議員も参加対象として市内の視察研修と意見交換会を実施する。農業者間の技術研鑽(けんさん)に加え、市議会との関係強化につなげている。


 市内の農業者自身も情報発信の機会がある。市が22年に導入した地産地消情報発信アプリ「ロカスタ」は、市内の農産物直売所の場所や市産の農産物を使った飲食店の紹介に加え、農業者が直接、市民に情報を発信することができる。スマホなどで見ることができ、「庭先で販売する野菜や果物について、旬の時期に素早く発信できる」と農業者からも好評だ。


 同市農業委員会の石田勉事務局長は「農業者と市民、行政がうまくつながりながら、東村山市の農業の魅力を発信したい」と話す。

 各地で農地を守ろうと奮闘する農業委員会の活動事例を紹介する(不定期連載)。


 日立市農業委員会(農業委員14人、農地利用最適化推進委員11人)では本年度から、タブレットをさらに15台増設。農業委員・推進委員が現地確認アプリを使い、農地の現況

 ドイツ、フランス、オーストリアなどEU各国の農村地帯をバスや車で移動すると、どこまでも続く畑地が、牧草地帯も含めて整然と耕されている。イタリア人はおおらかな気質だと日本人は思っているかもしれないが、中部山岳地帯を数十㌔行っても、耕作放棄地

 大仙市農業委員会(細谷精悦会長、農業委員24人、農地利用最適化推進委員40人)は、所有者不明農地制度を活用するなどで耕作放棄地の解消・活用や農地のあっせんに努めている。農地パトロールでは市内を八つに分け担当者を設置し効率的な調査などに取り組んでいる。


 大仙市は県の中央部に位置し、水稲を中心に畜産、園芸作物などの生産が盛んな、県内でも有数の農業地域だ。

 同市管内では2018年の所有者不明農地制度の創設以来、特定の地域に限らず制度を活用し、担い手への利用権設定へつなげてきた。特に市南部の大曲・仙北地域では昨年度からこれまで、延べ4・3㌶の農地の活用が知事裁定されている。

 中でも花館・四ツ屋地区では2年間、耕作放棄されていた約1・9㌶の所有者不明農地が解消に動いている。地区を担当していた推進委員の働きかけで地区外の農業法人が参入を決めたためだ。農地中間管理機構を通じ、10年間の利用権設定を受け、畑として活用する予定だ。

 これを受けて、同地区の地域計画は今年5月に2回目の更新が行われるなど、将来設計の見直しが活発に進められている。


 同市の農業委員・推進委員はそれぞれの担当地区で、農地の状況把握や今後の耕作者の調整、地域計画の更新に向けた協議へ積極的に参加。さまざまな形で地域計画の実現とブラッシュアップに取り組んでいる。


 所有者不明農地の確知・活用に必要な取り組みの最初のステップは、農地パトロール(利用状況調査)だ。同市農業委員会では管内を事務局と分室を基準に八つの地域に分け、各地域に農業委員・推進委員を配置し、農地パトロールに取り組んでいる。特に、23年以降は5台のタブレット端末を導入して実施してきた。


 農地パトロールの実施前には検討会を開催し、農業委員・推進委員が問題のある農地などを事前に確認する。


 現地ではタブレット端末から農地の情報を得て状況を確認し、終了後は再度検討会を開いて問題のあった農地の情報を出し合い、解決方法について話し合っている。


 細谷会長は「特にタブレット端末は、導入以降現地での情報確認が素早く確実にでき、非常に役立っている。今後も業務の省力化・効率化を図りながら地域の農業の発展、地域の振興のために努めたい」と話す。

 地域おこし協力隊制度は、いまや多くの自治体にとって身近な制度となりました。その活動分野は、実に多面的な様相を見せています。


 一方で、制度が広がるほど、ミスマッチの問題も顕在化してきました。隊員が思っていた活動と実際の業務が違う。地域が期待

 大分県農業会議(木村房雄会長)は、県と合同で、地域農業の将来像を描く「地域計画」の実効性を高めようと住民参加型の話し合い技法や合意形成手法を学ぶ研修会を開催。今年は7~9月に全3回シリーズで開いており、市町農政担当課や農業委員会の職員、県普及員ら約50人が参加。これまでに2回を終えた。


 地域計画は2024年度末までに県内各地473地区で策定されたが、策定期間が短く地元での協議が十分にできなかったことなどから、現況にほぼ近い内容にとどまる計画が目立つ。


 地域農業を将来へ継続させるには、策定済み計画を練り直す「ブラッシュアップ」が欠かせず、農地の利用意向の丁寧な把握や幅広い関係者を交えた協議の場づくりなど、進め方自体の見直しが課題となっている。


 研修では地方考夢員研究所の所長で全国農業会議所専門相談員の澤畑佳夫氏を講師に招いた。第1回は「ファシリテーター」の役割を学び、付箋を使ったグループ協議を体験。


 第2回は「地域計画の考え方」という原点に立ち返りながら、同計画を進める上での課題をグループでアイデアとして整理し、発表・投票まで行う模擬座談会を実施した。


 第3回では、地域の話し合いをより具体的にイメージできる形で、ファシリテーションスキルを活用するための実践的な技術を身に付ける予定だ。


 受講した職員からは「お互いの話を聴き合うことが大事だと気づいた」「事前準備で話し合いが大きく変わると知った」などの声が上がった一方、「地区数が多いところは進めるのが大変」との声も出た。


 澤畑氏は「地域計画が大事なことは皆分かっているが、どう進めればよいか分からないと感じている。何のために計画を作り、そこへたどり着くまでに何をするのか道筋が見えれば、格段に進めやすくなる」と話す。


 地域計画は農業者や住民が主体となって将来像を描くものだが、それを支える行政の役割は大きい。職員がファシリテーション技術を身に付ければ、地域での協議を円滑に進め、合意形成を後押しできるようになり、計画の実効性が一段と高まることが期待されている。


 あわせて、地域に根差し地域の人とのつながりも深い農業委員や農地利用最適化推進委員の協力も欠かせず、県農業会議は農業委員会と連携し、委員向けの研修機会の創出にも力を入れていく考えだ。


 県は本年度から各市町にモデル地区を設け、ブラッシュアップの進め方を県内全域で横展開する取り組みも始めている。研修と現場実践を両輪で進めることで、「地域計画の実現」を着実に前進させる構えだ。

 ⑴戦時中、農業団体は、国策遂行のための機関だった。そこで農業団体を民主的な姿に再編制することも戦後農政の課題だった。本稿では、農協などの農業団体の変遷についてまず述べたい。


 ⑵戦前には「農会」と「産業組合」が主要な農業団体だった。双方とも

 地域おこし協力隊制度について考えるとき、まず確認しておきたいのは、私たちがすでに人口減少社会のただ中にいるという事実です。地方において、人口減少は喫緊の課題であることは事実です。これまで地域の中で当たり前に担われてきたことが、少しずつ負担

 美馬市では、地域農業の持続的な発展をめざして市農業委員会(河野耕八郎会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員18人)など関係機関と連携。農地のマッチングを活性化させ、農地利用の最適化に向けた取り組みを進めている。


 美馬市では2025年5月、担い手がいない農地や将来的に耕作放棄地となるおそれがある農地の情報を集約し、地域の担い手に効率的に紹介する仕組み「美馬市版農地バンク」を構築、取り組みを進めてきた。


 同制度は市農林課が実施する農地のマッチングサービスで、農地の「出し手」と「受け手」の調整役となる「地域プロジェクトマネージャー」を配置し、農地利用の最適化を進める。市の担当職員や地域プロジェクトマネージャーが間に入り、農地の紹介や条件調整など農地所有者と耕作者の橋渡し役を務める形だ。


 同制度の利用料は無料。農地を貸したい所有者(出し手)が市へ貸付登録を行う。登録には、農地に1年以上の賃借権などが設定されていないこと、現況地目が田または畑であること、境界が明確であること――などの条件がある。借り手(受け手)が決まるまでは、農地所有者が適切に農地を管理することも求められる。


 一方、借りたい人も借受登録を行い、希望する地域や面積、栽培作物などの条件を登録する。

 市は登録情報を基に双方の意向を調整し、条件が一致すれば、徳島県農地中間管理機構を含めた三者による契約を締結する。


 同制度を支える重要な存在が、地域プロジェクトマネージャーの山田洋一さん(47)だ。


 地域プロジェクトマネージャーは、総務省の制度に基づき、地域課題の解決や活性化を目的に、行政と住民、農業者、関係機関をつなぐコーディネーター役を担う。山田さんは3年間、美馬市地域おこし協力隊で活動後、公募の選考を経て25年4月から同マネージャーに着任。農地の貸し付けについての相談対応や各種登録申請書の作成・サポート、関係機関などとの連携役を務めた。25年度は約8㌶の農地でマッチングが実現、27年度末までに20㌶のマッチングをめざしている。山田さんは「少しでも地域に貢献したいという思いで、一つ一つの相談に丁寧に向き合っていきたい」と熱く語る。


 農業委員会でもこの取り組みに積極的に協力する。農地利用状況調査などで、遊休化している農地の所有者に利用意向調査を行う際などに美馬市版農地バンクのチラシを同封し、制度の利用を呼びかけている。


 河野会長は「耕作放棄地の増加を食い止めるためだけではなく、規模拡大を考える担い手にとっても非常に良い制度だと思う」と語る。

 農地と太陽光発電は共存できるのか。農地を転用せず営農しながら発電していく営農型太陽光発電はまさに共存できる。

 

 ただ、この問いの真の意味は、「農業で農地を守ることができるのか」つまり、耕作により農地を維持・保全する方法で、農業者は生計を維