「農業者年金の加入推進」と聞くと、「保険の勧誘」と感じ、少し身構える人もいるかもしれない。しかし、加入推進の本質は、加入を勧めることではない。農業者年金という制度を知ってもらい、自分の将来について考えるきっかけを与えることにある。


 皆さん

 今年の農業委員会の改選で、県内では女性委員の登用が大きく増えた。石川県農業委員会女性協議会では、各市町農業委員会や農業会議と協力し、各市町へ女性登用の必要性を伝え続けてきた。


会長交代も引き継がれる想い

交流し悩み・好事例を共有


 「地元の委員や事務局の皆さんが、女性の登用にご協力いただいたこと、本当にうれしく感謝しかありません」――。女性協議会の前会長、川畑眞智子さん(小松市農業委員会)は笑顔でそう語る。


 川畑さんはこれまで、県内の各市町に対し農業委員会での女性の登用活動を積極的に進めてきた。7月に開かれた同協議会の総会で新会長に選ばれた加納文子さん(加賀市農業委員会)も、川畑さんが展開してきた活動を継続。それに加え、地域を超えた交流機会を重視する構えだ。加納さんは「研修会などを通して市町を超え、いろいろな人と委員会活動の悩みや好事例を共有していきたい」と目標を語る。


 石川県ではこれまで女性委員の登用に向け、農業委員・農地利用最適化推進委員、農業委員会事務局がさまざまな形で取り組んできた。女性協議会も歩調を合わせ精力的な要請活動を展開した。


 同協議会では昨年9月から今年2月、川畑さんを中心に改選を控える13市町を訪問。首長や市町議会議長に、女性協議会、地元市町農業委員会、県農業会議の各会長連名の要請書を手渡すなど、女性委員の登用について必要性を訴え、その機運を醸成してきた。


 県内では今年、19委員会のうち16委員会が改選。すでに14委員会で終了している(10月23日現在)。農業委員と推進委員を合わせた女性委員の総数が改選前に比べ46人から61人に増えるなど登用活動の成果が表れており、今後の地域農業の振興に新たな風を吹き込むことが期待される。


女性割合30%の目標も達成

雰囲気明るく議論も活発に


 改選を終えた各市町では女性委員が増えたことで、効果が表れているという。


 能美市農業委員会では改選後、女性の農業委員が2人から4人に増加。総会での発言回数も増え、議論が活発になり、全体の雰囲気も明るくなったと関係者は語る。


 金沢市農業委員会では、今回の改選で女性農業委員が3人増の6人に、推進委員を含めると女性委員は7人になった。同市では2024年、有識者を交えて女性登用の検討会を複数回開くなど登用活動を進めていた。全農業委員19人のうち女性が6人になったことで、第6次男女共同参画基本計画の成果目標「委員会に占める女性の割合30%」を達成。改選後、この基準を達成しているのは金沢市、野々市市、能登町の3市町となった。


 また、早期目標である20%を達成する農業委員会も能美市含め6市町となるなど、県内の女性委員の登用活動は順調に進んでいる。

 高市早苗首相は国会で「食料自給率100%をめざしていきたい」と発言した。これに対して「農地を現在の3・1倍に増やさなければ実現できない」「農地の集約やスマート化による生産性向上だけでは不可能」「そもそも農業従事者が減るばかり」など消極的な

 地域おこし協力隊制度は、これからも多くの地域で活用されていくでしょう。人口減少が進むなかで、外部から人材を受け入れる仕組みへの期待はますます高まっています。しかし、制度の展望を考えるとき、単に隊員数を増やすことだけを目標にしてよいのでしょ

 松田町農業委員会(鍵和田功会長、農業委員8人、うち女性農業委員1人)では、農地利用状況調査などを分担し丁寧な相談対応で遊休農地の解消などにつなげる。また、新規就農者など担い手の確保・育成、都市との交流を通じた農業の活性化などにも取り組んでいる。


 松田町は神奈川県の西部に位置し、丹沢の山々など豊かな自然環境に囲まれている。小田急小田原線とJR御殿場線、東名高速道路、国道246号などが通る交通の要所でもあり、自然と文化が調和する町だ。同町では露地野菜やミカン、茶などが栽培されており、山間部に点在している農地も少なくない。


 松田町農業委員会は毎年10月から11月にかけ、農地の利用状況調査を行っている。農地所有者などの意向は、各区域を農業委員で分担して確認してきた。調査では、道路に接していない農地で草木が茂り、筆界の確認が困難な場所もある。その際はドローンを活用し上空からの情報で判断したこともあったという。タブレットで位置を確認しながら実施することもあるが、道中で出会う農家には積極的に声がけをし、現状を聞くなど人との対話も大切にしている。


 2025年度には遊休農地約200筆の所有者へ通知し、耕作状況に加え、意向聴取も行った。これらの活動が功を奏し、25年度は町内の農地面積およそ231.3㌶のうち遊休農地は20.2㌶になった。これは24年度調査時の遊休農地24.9㌶から約5㌶減少しており、目に見える形で遊休農地解消が進む。


 農地所有者や農家からは「みかん山には樹齢50~60年になる木も多く、後継者を考えると改植に踏み切れない」といった声もあり、農業委員会では今後の農地活用についてもしっかりと相談対応をしていく意向だ。


 同町では、町内外から作目や土地条件を明確にした新規就農者・新規参入の相談があり、円滑な参入に力を入れている。


 それらの相談では、町の事業である「新規就農者等担い手支援補助金」や「遊休農地等再生事業補助金」の活用を促すなど支援する。


 担い手確保・育成にも工夫しており、就農・参入希望者と農家との交流会の実施や、町主催で毎年11月にある「まつだ産業観光まつり」ではブースを出し、相談窓口を設置するなど積極的だ。


 また、昨年9月、町農業委員会が主催した懇談会「まつだの農業を話そう」では、就農希望者や相続後の農地管理に悩みをもつ地権者など12人が参加。全農業委員で地域ごとの特色を説明したり、参加者同士で交流を深めたりし、3人の就農につながった。


 同町ではまた、遊休農地を含むおよそ5千平方㍍の農地で栽培したサツマイモ・紅はるかを使い、旧寄(やどりき)村(むら)との合併70周年を記念した芋焼酎「710(なないちまる)」を蒸留。地域振興事業の支援にも取り組んでいる。

利用改善組合とともにマッチング


 長井市農業委員会(髙橋剛会長、農業委員17人)では、市内の農地利用の調整を行う各地区の農用地利用改善組合と連携し、農地の集積・集約に取り組んでいる。2026年3月現在の集積率は87・9%と県内トップ。市独自の農地マッチングの仕組みが農地の維持に役立っている。


地域の担い手ら中心に組合構成


 「農地の貸し借りで困った時は、農用地利用改善組合へのマッチング依頼で解決できる」という信頼感が、農地の出し手と受け手をつないでいる。


 同組合は、1970年に全国で始まった農用地流動化事業がきっかけで設立。農地の利用を白紙委任で担い手につなげる取り組みだった。当時、農業委員で後に会長となる勝見幸喜氏が仕組みづくりに大きな功績を残した。市独自の「農用地流動化奨励補助事業」も創設され、農地の流動化が進んだ。市内では54の組合が発足し、86年には全農家の意向調査を実施するなど農地の集積・集約や維持・管理に向け、地道な活動を続けてきた。組合は現在26組織。各地区の担い手で構成され、関係団体の役員や農業委員も加わる。


 農業委員会が農地の出し手から相談を受けた場合、農業委員会からの依頼により、組合は受け手へのマッチングまでの支援を行う。組合員が集まって条件を調整し、受け手が決まれば農業委員会に結果を報告する。その際、各地区の農業委員もマッチングを確認。最近では、法人化希望の農業者が農地を探す際の話し合いを支援するなど、活動は多岐にわたる。


 組合と農業委員会による取り組みを市もバックアップ。農用地流動化奨励補助事業を活用し、農地の利用調整が成立したときには、活動助成金を支給する。集積率向上だけでなく、遊休農地の発生防止にも大きく貢献している。


地域計画の前進へ連携強化


 同市では年に1回、「農地利用最適化研修会(組合長会)」を農業委員会主催で開催しており、各組合長が参加。マッチングで注意してほしい事項、流動化奨励補助金の説明、新任の組合長に対しては組織の目的について説明する。今後の農地利用調整活動に役立ててもらうためだ。


 組合の仕組みは、地域計画の策定時にも機能を発揮した。各地区の話し合いには、農業委員とともに組合も参加。協議が円滑に進むように協力しており、組合の下地があることで地図を広げた際の話し合いがスムーズに進み、利用調整がしやすくなったという。


 髙橋会長は「高齢化による担い手不足、物価高騰などにより農業情勢はますます厳しさを増している。一昔前より農業委員に対して求められるものも大きくなっていると感じる」と現在の情勢を受け止め、「未来志向で地域計画はさらに前進していかなければならず、毎年のブラッシュアップは非常に重要」と語る。


 今後の抱負として髙橋会長は「そのために今後欠かせないのが組合とのさらなる連携で、地元の農業委員としても組合の話し合いに積極的に参加するなど活動が円滑に進んでいくよう支えたい」と力を入れた。

 ⑴戦後の農政を担う重要な組織として発足した農業委員会だが、その役割を十分に果たしていくには、地域の農地の現状と、農業生産を担う農家の状況を把握することが不可欠だ。その後の農政の展開の中で、農地の担い手への集積、例えば、農地流動化の掘り起こ

 地域おこし協力隊制度のミスマッチを完全になくすことは困難です。どれだけ丁寧に募集し、着任時に確認をしても、実際に活動が始まれば予想外の出来事は起きます。地域との関係が思うように深まらないこともあれば、隊員の関心や将来像が変化することもあり

 地域おこし協力隊の募集と採用が終わると、自治体はどこか一安心してしまうかもしれません。しかし、制度運用は、隊員が着任してからがスタートです。むしろ、着任直後の数カ月こそ、ミスマッチを防ぐための期間です。隊員は、地域への期待と不安を抱えて着

Q:近所に農地法の許可をとらずに農地を建設資材置き場として使っている人がいます。農業委員会に確認したところ、この農地は農用地区域に指定されていて転用はできないので、県と相談して是正指導をするといわれました。今後、どのような措置がとられるので

 西都市農業委員会(湯淺幸二会長、農業委員16人、農地利用最適化推進委員16人)は、農業者年金の加入推進活動に力を入れている。地域の農業経営の安定化に向け、未来を担う若い世代へのアプローチを強化。2025年度も新規加入者が増え、 (独)農業者年金基金が実施する農業者年金事業表彰でも上位入賞をするなど、加入推進活動が効果を発揮している。

綿密な話し合いで対象者選定

 西都市は、宮崎県内でも屈指の施設園芸・畜産の盛んな地域だ。

 同市農業委員会の農業者年金の加入推進活動は、JAと共同で年2回の戸別訪問を展開するなど、活発に行われている。

 戸別訪問では毎年、認定農業者リストを基に「加入推進名簿」を更新。市内5地区に農業委員、推進委員を割り当てて綿密な話し合いを通じ訪問対象者を選定する。対象者は、新たに就農した若い担い手を最優先する方針だ。加入を断られた対象者には、3年程度の期間を置いた上で再び巡回するなど、きめ細かいフォローを継続している。

 今年3月、同市農業委員会と加入推進を一緒に行っていた同市農業者年金受給者協議会が解散し、加入推進活動の停滞が懸念された。しかし、JAと農業委員会が二者でがっちりと手を組んでおり、引き続き活動は順調だ。

 地区によって加入推進対象者の年齢にバラつきがあり、50代以上が中心の地区では加入が計画どおりに進まないなどの課題はあるが、若い世代が多い地区では着実に加入率が向上している。

脱サラ後、将来見据えて加入

 若手農家の久永亮太さん(38)は今年、農業者年金に加入した。サラリーマンを辞めた後、21年に妻の実家がある西都市で就農。義父からの技術指導や農業改良普及センターの研修を経て、今年1月に経営主となった。

 現在は水稲や施設ピーマン40㌃の経営全般を自らの責任で統括。今季は初めて田植機やコンバインを自ら運転して農作業を取り仕切ったという。

 「将来、いつまでも元気で働きたい」と語る久永さんは、妻の両親からの強い勧めもあり、妻とともに農業者年金への加入を決意した。「加入したばかりでまだ実感は薄いが、節税できる点に大きなメリットを感じている」と話す。

 実は久永さんの祖父も農業者年金の加入者であり、これで祖父母、両親、久永さん夫婦と、3世代にわたって〝農業者年金に加入する農業一家〟になった。

 西都市の活動は、農業者年金基金が実施する「25年度農業者年金事業表彰」の「新規加入者数(全体)」が17人で全国7位、「新規加入者数(女性)」が11人で全国2位となり、2部門で全国表彰を受賞し高い成果を上げている。今後も若い世代への啓発と加入推進を進める方針だ。

 前回は、地域おこし協力隊を募集する前に、地域の課題を整理することの大切さについて述べました。では、その整理ができた後に自治体は何をすべきなのでしょうか。必要になるのは、課題を具体的な協力隊企画へと落とし込み、募集要項として明文化することで

 善通寺市農業委員会(瀨川治会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員14人)は、市農林課、県農地機構と連携した市独自の「農地マッチング支援事業」を展開。また、市の公社と農業委員会による農地の保全管理にも力を入れており、農地利用の最適化を進めている。


 善通寺市の実施する農地マッチング支援事業は、市内全7地区で策定された地域計画に基づく遊休農地の発生防止・解消が目的の事業。2025年10月からスタートした。


 同市農業委員会、市、県が農地を貸したい・売りたい人(出し手)と借りたい・買いたい人(受け手)の間を取り持ち、農地の集積・集約を進める。昨年度は半年間だったが合計23筆、約2㌶の農地でマッチングが実現した。


 仕組みは出し手が「農地マッチング支援事業貸付等申出書」を農業委員会に提出。農業委員会事務局との相談などを経て農地マッチング台帳に登録し、市農林課と県農地機構で情報共有する。


 事務局はまた、登録後速やかに該当地区の農業委員、推進委員と情報を共有。登録内容や受け手の情報などを確認し、両委員がペアで戸別訪問などの「マッチング支援」に入る。農地中間管理事業の紹介や地域計画の実践活動を紹介するチラシなども使い、受け手候補者に声をかけるという。


 水はけが悪いなどの条件があるとなかなか受け手が見つからないが、申し出のあった農地は所有者の了承を得てeMAFF農地ナビに反映する。


 瀨川会長は「地域計画や県内統一の組織運動による農地利用の最適化活動への取り組みが重要であり、農地マッチング支援事業がそれを後押しするものとなっている」と事業の効果をあげる。また、「この7月の改選で新体制となったが、引き続き市農林課、県農地機構と3者連携して取り組んでいく」と話す。


 善通寺市では農地マッチング支援事業などの農地集積・集約と合わせて、(公財)善通寺市農地管理公社(辻村修理事長)と農業委員会が中心となり農地の保全管理事業にも力を入れる。


 同公社が保全管理や畦畔の草刈り作業を実施。25年度の実績は、保全管理作業が35.2㌶、畦畔の草刈り作業が5462㍍だった。また、同公社が主催となり農業に興味を持つ人たちが対象の野菜づくりの基礎を学ぶ「ゆめ楽農支援塾」の開催や、市外出身の若者の農業研修生の受け入れ・育成、ダイシモチ麦の特産品化など多彩な事業を展開する。

 

 マッチング支援事業の中でも農業委員らは公社の活動を紹介し、農地所有者の意向や農地状況によっては公社の利用を勧めている。

 

 同市の農業委員でもある同公社の髙畑強事務局長は「当公社は農地の保全管理の〝最後の砦(とりで)〟」と語る。

 来年度の環境省の概算要求で外来生物対策費が本年度の約6億円から約67億円と10倍以上になったことが大きく報道された。農水省の概算要求でも消費・安全対策交付金が約19億円から約57億円と約3倍に増えている。


 これらはクビアカツヤカミキリ、ヒ

 地域おこし協力隊制度を導入するとき、多くの自治体が最初に考えるのは「どんな人に来てもらうか」かもしれません。もちろん、人物像を描くことはとても大切です。しかし、その前に問うべきことがあります。そもそも地域は何に困っているのか、何を変えたい