畜舎や倉庫などの相続税納税猶予 明治大学名誉教授・青山佾
国全体の人口は2008年をピークに減り続けているのだが、このほど国が発表した国勢調査結果によると東京都区部の人口は00年の813万人から25年には995万人と、25年間で22・3%増加した。
この人口増は、都心部や湾岸一帯のタワーマンショ
国全体の人口は2008年をピークに減り続けているのだが、このほど国が発表した国勢調査結果によると東京都区部の人口は00年の813万人から25年には995万人と、25年間で22・3%増加した。
この人口増は、都心部や湾岸一帯のタワーマンションや区部全体に広がるマンション建設によって吸収されてきた。20世紀には工場跡地など大規模な用地放出もあったが、農地は一貫して住宅用に提供されてきた。
住宅を増やすために農地の宅地並み課税が公然と主張された時代もあった。論争の結果、都市計画法により市街化すべき区域と指定されても生産緑地については固定資産税が軽減されることになった。
ところがその後の地価高騰と相続税の対象拡大や税率など課税強化により、遺族に営農の意志があっても相続税を支払うために農地を手放さざるを得ない例が生じている。
食料安全保障や自給率向上など農業・農地への社会の理解が進み、都市農業振興基本法をはじめ各種の都市農業政策が充実しつつあるにもかかわらず、相続税強化という要因によって都市農地の減少に拍車がかかったのである。
大都市部の農業関係者は以前から相続税納税猶予対象の拡大を訴えてきた。しかし事態は動かなかった。国土の均衡発展のためには大都市の宅地をこれ以上増やさない方がいいと思うのだが。
生産緑地に指定されている農地のうち、営農に不可欠の通路は相続税納税猶予の対象となっている。しかし畜舎や倉庫、休憩施設などは納税猶予の対象となっていない。
相続税を払わないと言っているのではない。農業を継承したいから、後継者が営農を継続している間は相続税支払いを猶予してほしいと言っているのだがいまだに対象となっていない。結果として、農地を売り払って相続税を支払い、人の農地を借りて農業を継続している農家が生じている。
最近は九都県市首脳会議(1都3県の知事と5政令都市の市長で構成)の一致した要望もあって鈴木憲和農相や片山さつき財務相もこの問題に関心を持っていただくようになった。これを機会に制度が改善されるよう切に望みたい。
◇次回は7月24日付








