西脇市農業委員会(宮崎隆会長、77)では、「地域の農地は地域で守る」をモットーに、市と連携して市内52集落で地域計画を策定した。現在は新たな担い手が誕生するなど、計画の実現に向けて活動している。


 同市では、最高品質の酒米「山田錦」や高級和牛として有名な黒田庄牛をはじめ、イチゴ・施設野菜などの農畜産物の振興を進める。しかし、他の地域と同じく、農家の高齢化や担い手不足による耕作放棄地の増加が課題だ。

 宮崎会長は、2016年に地元集落での「人・農地プラン」を推進して以来、「地域の農地は地域で守る」をモットーに農地利用の最適化などの農業委員会活動を進めてきた。

 人・農地プランを推進する中では、300年以上の歴史を誇る愛知県名古屋市の酒造会社が同市に農業法人を設立。市内の農地で山田錦の自社栽培をすることになった。

 また、地域計画の話し合いを進めた際、地元の建設会社が耕作放棄地で水稲栽培をスタートさせることになり、新たな担い手が誕生している。

 宮崎会長は「地域計画で担い手を明確化した。新たな取り組みも始まっており、大切な農地を次の世代に伝えていきたい」と笑顔で語る。


 同市住吉町で建設会社「㈱今村建設」を営む今村(かなめ)さん(48)は、農地利用最適化推進委員の竹谷保夫さん(72)から声をかけられ、24年に新たに「㈱奥畑アグリラボ」を設立。農業参入を決めた。住吉町地区内の耕作放棄地を含めた2・1㌶を同社で取得し、本業の重機を活用して水路などを復旧、25年から水稲を栽培している。

 竹谷推進委員は、「20年以上も前に営農組合が解散し耕作放棄地が問題になっていた。解決するには、まず農地を元に戻す必要があり、建設会社を営む若い今村さんに声をかけた」と話す。

 今村さんは、兄の勝豊(かつとよ)さん(50)や弟の君人(きみひと)さん(45)、建設会社の社員とともに、山間部に広がる耕作放棄地の整備からスタート。長年放置され、大量の土砂に埋もれた水路の復旧や、効率的な農作業を実現するための法面も補修した。 

 今村さんは「現時点で農業だけで採算を取るのは難しい。しかし本業の重機も活用し、兄と弟、社員と協力して、継続可能な農業経営を図りたい」と話す。

 君人さんも「生まれ育った地域のために兄弟と社員で農地を守っていきたい」と抱負を語る。

 同社が農業に参入した経緯には、地域計画の策定を進める際の農業委員会をはじめとした周囲の人々の働きかけが大きい。地域計画の実現に向けて、同市でスタートした「新たな取り組み」に期待が集まっている。

 新渡戸稲造は1862年、盛岡に生まれ、札幌農学校で農業を学んだ。アメリカ留学を経て母校の教授をしながら北海道庁の技師として泥炭地開発に従事した。当時石狩平野の湿地である泥炭地では木の葉など有機物が酸素不足のため分解されずに堆積していて土壌

 営農型太陽光発電設備は、単管パイプで組まれた架台に太陽光パネルを固定する藤棚式のものが一般的なイメージではないだろうか。これは、まさに簡易な構造で、容易に撤去できる支柱を立てて上部空間に太陽光パネルを設置するという定義どおりの営農型太陽光

 十日町市の目標地図は、同市農業委員会(村山隆義会長、68)が作成し、「話し合いの場」では農業委員・農地利用最適化推進委員がコーディネーター役を務めた。現在進められている地域計画のブラッシュアップにおいても、見直しに向けた話し合いの場で農業委員・推進委員が中心的な役割を担っている。


 同市は市内を10地域のエリアに分け地域計画を策定した。目標地図は当初から農業委員会が担当。2023年9月に10㌃以上の農業者約6千人に意向調査票を配布した。同年11月末の回答期限には4割ほどの回答率だったが、その後農業委員・推進委員が未回答者を訪問し約8割の回答を得た。


 その内容を地図に落とし込み、地域ごとの話し合いの場を経て、24年11月に素案を策定した。当時の様子は、十日町市農業委員会だより「妻有のきずな」にも掲載されており、委員から「地域の人との話し合いの場が多く参加した。担い手がいるところ、高齢化が進むところと集落ごとで差がある」「担い手が日常の管理が大変で農地をこれ以上受けられないという悲鳴が聞こえた」など、地域の課題がつづられている。


 同市では地域計画のブラッシュアップを、全地域3年サイクルで見直す計画だ。


 25年度は7月から12月までに24カ所で話し合いの場を開いた。そうした中、出席者の多い地域ほど「将来の地域営農に関心があり、危機感を持っている傾向がある」と同市農業委員会では感じていたという。


 見直しの中心は当初の目標地図で将来の担い手が決まっていなかった「白い部分」に色(担い手)を塗っていくもの。村山会長は「10年先よりも3年先の方が農業者も答えやすいと考え3年サイクルにした。話し合いの場では委員が中心となって取りまとめている内容を聞きながら検討していくことで目標地図を完成させたい」と話し合いの場の意義を語る。


 十日町市は本年度、農業委員会の改選年に当たることから本格的な取り組みは8月以降になる見込みだ。新たに就任する農業委員・推進委員には「目標地図は委員が中心となって地域住民と話し合って作成・見直していること」「話し合いの場の会場設定や、司会進行などは地域担当の推進委員が中心となって行うこと」などを引き継ぐことで、取り組みを継続していくことにしている。

 営農型太陽光発電において栽培する作物に制度上の制限はない。そうとはいえ、適切な営農の観点から、日照が遮られても質や量に大きな影響がないか、営農指導を受けられる体制があるかなどを考慮して作物を選ぶ必要がある。


 「営農型太陽光発電について」(

 2026年度5回目の「のうねんだより」です。今回は「加入推進特別研修会」についてご紹介します。


 加入推進特別研修会は、農業者年金の加入推進を担う関係者の皆さまの意識・知識の向上を目的として、業務受託機関である農業会議と農業協同組合中央会、

 銚子市農業委員会(坂尾清志会長)は、長年農業者年金の加入推進に力を入れている。委員と事務局が連携した丁寧な取り組みで、地域の農業者に農業者年金制度の魅力を伝え、毎年多くの農業者が新規加入している。


 銚子市はキャベツやダイコン、メロンなどが中心の、県内でも屈指の農業産地だ。経営規模が大きい農家が多い一方、後継者の確保や収入の波による不安定さに悩む声も聞こえる。


 「将来への不安を抱えながらも日々の作業に追われ、老後の備えまで考える余裕はなかなか生まれない」「農業者年金の名前は知っているが加入するメリットについては知らない」――そんな農家がいるのも珍しくない。


 銚子市農業委員会はまず「制度を知ってもらうこと」を出発点に据えて加入推進活動を進める。


 同市農業委員会は毎年10月から11月が加入推進月間だ。農業委員・推進委員が加入対象者に戸別訪問してチラシを配布し、制度を紹介。興味を示した農業者には、事務局が後日改めて詳しく説明する方法をとっている。委員と事務局が役割分担し、無理な勧誘はせず、農業者に寄り添うことを大切にして活動を進めているという。


 農業者が農業者年金制度に触れるきっかけは、窓口での何気ない相談から生まれることも多いという。


 農地の手続きなどで訪れた人に対し、農業委員会事務局は必要な情報を一から丁寧に伝えるが、会話の中で農業者年金も自然に紹介することにしている。支払った保険料全額が社会保険料控除になる点など、節税につながる「今すぐ役に立つ情報」を伝える。このため、毎年の収入の変化に応じて保険料を変える農業者が多い傾向だ。一方、過去の制度との違いや注意点も率直に説明する。この姿勢が信頼を生んでいる。


 また、農業委員会事務局は「制度を十分に理解していなければ勧められない」という思いから制度内容を深く学び、相手が納得するまで何度でも相談に応じている。


 こうした積み重ねにより、加入推進活動に力を入れ始めた約20年前から170人以上が新規加入した=グラフ。


 特徴的なのは、手続きのワンストップ化だ。農業者年金と同時に加入する「国民年金付加年金」の書類など、必要な書類はすべて準備。加入者は農業委員会へ一度訪問するだけで手続きが完了する。忙しい農家の負担を減らすひと手間が、制度への安心感にもつながっているという。


 同市農業委員会の農業者年金担当者は「農業者年金は農家の将来を守る良い制度。知らないまま損をしてほしくない」と話す。


 委員・事務局が連携して制度を届ける仕組みが、市内の多くの農業者を支えている。

 ⑴戦後の農地改革により、戦前からの課題であった「小作農の救済」が実現し、敗戦国日本が直面する「食糧の増産」も進んできた。農政当局は、この農地改革の成果を将来にわたって継続することが必要と判断し、1952年(昭和27)に農地法が制定された。


 営農型太陽光発電は、単に農業者の収入増だけでなく、荒廃農地の再生をきっかけとした地域活性化の手法として行うことが考えられる。農家だけががんばるのではなく、地域住民などを巻き込んで、その中心に営農型太陽光発電を置くことで地域活性化を図る構造

 美里町農業委員会(伊藤惠子会長、農業委員16人)は、町認定農業者連絡協議会と共催で女性農業者の交流と意見交換の場である「みさとアグリカフェ」を開いている。農業施設の視察や農業者年金の加入推進、農業経営に必要な情報を広めてきた。農業委員候補の掘り起こしも進める。


 美里町は宮城県北東部に位置し、面積が約75平方㌔で、面積の約7割を占める農地は平地にある。水稲を中心に、バレイショやナシが栽培されているほか、約8㌶の広大な敷地にレタス生産工場が稼働している。


 みさとアグリカフェは、町の農業者年金加入者協議会が主催の農業先進地を視察する「女性農業者研修会」と、農業委員会が主催の「認定農業者との意見交換会」が前身だ。加入者協議会の解散や意見交換会参加者の減少で、2023年から二つを組み合わせて開くようになった。


 カフェは、視察研修と意見交換で構成される。午前に町内の農業施設を視察研修。昼食を伊藤会長が経営する菜園レストラン「野の風」でとった後、コーヒーを飲みながら、意見交換を行う。


 第4回のカフェは2月に開かれ、女性農業者18人が参加した。町内にあるみやぎ総合家畜市場で子牛の競りを視察した後、意見交換会に移った。


 意見交換では「市場は身近にあるが行く機会なかったが、初めて競りを見られてよかった」という意見の他、参加者の体験から「都市部の販売会に参加した際、町の場所はどのあたりかを聞かれる」「町内産の小麦と青ジソを使ったクラフトビールなど、魅力のあるものや場所はたくさんあるのでPR活動は大事」といった声もあがった。


 カフェの運営に関わる農業委員の鈴木幸博さんは「意見交換会をカフェ形式にしたことで、話しやすい環境となり、参加者はリラックスして意見を述べてもらえていると思う。いろいろな考えを聞けて参考になる」と話す。アグリカフェでは、将来の農業委員候補者探しと登用も兼ねている。農業委員の繁泉順子さんは過去のカフェ参加者で「これをきっかけに農業委員会について知った」という。


 伊藤会長は「なにかを始めるときには仲間がいると心強い。カフェをきっかけに横のつながりを見つけてほしい」と語る。

 営農型太陽光発電において、農地所有者と営農者・発電設備設置者が異なる場合に不適切事例が入りこむ余地があるとお話しした。もちろん農地所有者自らが営農や設備設置をする場合であっても不適切事例はあり得るので類型が全てではない。


 懸念するのは、発

Q:農地を相続したのですが、相続登記などについて、今後どのような点に留意すればよいでしょうか。


A:農地も含め、相続(相続人への遺贈を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、相続したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが

 2026年度4回目の「のうねんだより」です。今回は「25年度の農業者年金の運用状況」と「農業者年金制度の資産運用の特徴」について紹介します。


 まず、「25年度の農業者年金の運用状況」についてご報告いたします。


 加入者の皆さまからお預かりし

 熊本県益城町の赤井地区は、相続登記がされていない農地があることで圃場整備事業が進まない状況だった。担い手への集積・集約が進まず地域農業が崩壊する危機感から、町と同町農業委員会は権利関係の把握や相続人の確認・働きかけなど地道な取り組みを原動力に、所有者不明農地対策を進めている。

  同地区は水稲作を中心とした水田地帯で、935筆、57㌶の農地が広がる。周囲の地区は30㌃区画の圃場整備が完了しており、同地区でも早期の実施が求められていた。

 町では2019年、同地区の圃場整備事業計画に着手。計画の実施に当たって農地の権利関係を調べると、未相続農地が多いことがわかった。農業委員などの地域役員と町が協力して未相続農地の解消に取り組んだが、未相続の期間が長期のため相続人が多岐になる例や、所有者がわからない農地も多数あったことから計画が難航していた。

 計画が再び動き出したのは25年。地域から整備を求める強い要望が出されたのを受け、農業委員会組織が取り組む「所有者不明農地対策事業」で進めることにした。

 町は同年9月、農業委員会、県農業会議、県農業公社などの関係機関を集め、同事業で所有者不明農地の解消を進めることを確認、事業が動きだした。

 具体的な活動は、町が土地登記簿を一括で取得し、農業委員会と連携して相続登記されていない農地の地図など関係資料を作成。それを基に、区長や農業委員など地区の役員が相続人に対して相続登記を働きかけた。地区を担当する井川寿範(としのり)農業委員は、集落協議会の事務局として地域役員による相続人への登記の働きかけを指示するなど、中心となって動いた。

 県司法書士会と連携協定を結んで市町村の取り組みをサポートする県農業会議は、登記事務を行う司法書士との協議を進めた。

 今年2月にはこれら資料が完成し、地域役員が関係者に面談して相続登記をするよう動き始めた。3月には司法書士と関係機関による相続権利者の相談会も開催。現在、相続人全員への働きかけが終了し、司法書士の個別相談が続けられている。

 農業委員会の松本三千輝(みちてる)会長は、「所有者と相続人が高齢化していく中、登記手続きを負担に感じることで、未相続農地が増加していくことが予想される」と将来を見据える。今後について、「現行制度では対応が難しい側面があるため見直しが必要だろう。引き続き、関係機関一体となり地域で未相続農地解消に向けて取り組みたい」と話す。

 国全体の人口は2008年をピークに減り続けているのだが、このほど国が発表した国勢調査結果によると東京都区部の人口は00年の813万人から25年には995万人と、25年間で22・3%増加した。

 この人口増は、都心部や湾岸一帯のタワーマンショ