”いぶりがっこ”に適したダイコン新品種~「秋田いぶりむすめ」の育成~

2026年08月28日
     
新品種の「秋田いぶりむすめ」
加工後の「秋田いぶりむすめ」
4コマ漫画①
4コマ漫画②
4コマ漫画③
4コマ漫画④
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 秋田県の伝統食品「いぶりがっこ」は、ダイコンを(くん)(せい)干しし、たくあん漬けにした郷土食です。独特の製造法から生まれる(うま)()と風味が多くのマスコミに取り上げられ、全国的に知名度が高まり需要が拡大しているほか、2019

 秋田県の伝統食品「いぶりがっこ」は、ダイコンを(くん)(せい)干しし、たくあん漬けにした郷土食です。独特の製造法から生まれる(うま)()と風味が多くのマスコミに取り上げられ、全国的に知名度が高まり需要が拡大しているほか、2019年には地理的表示(GI)保護制度に登録され、秋田県を代表する輸出食材の一つとしても期待されています。


 原料に用いられるダイコンは主に民間F1品種が使用されますが、いぶりがっこの加工では、水分が多く肉質が軟らかくなりすぎる、また根の肥大が早く収穫適期が短い、といった課題がありました。一方、既存の県育成品種「秋田いぶりおばこ」は、肉質が硬く保存性は高いものの、近年の軟らかい肉質を好む消費者ニーズには合わなくなっていました。


 そこで秋田県農業試験場では、栽培特性と加工適性に優れた新品種「秋田いぶりむすめ」を育成しました。「秋田いぶりむすめ」は、「耐病干し理想」選抜系統と「香漬の助」選抜系統を組み合わせたF1品種であり、現在の県内主力品種「香漬の助」に比べて根部の肥大が緩やかである点が最大の特徴です。そのため規格外(太り過ぎ)が発生しにくく、収穫適期が長いため収穫遅れのリスクを軽減することができます。


 さらに他品種と組み合わせたり、播種時期をずらしたりすることで、収穫期間の拡大・連続出荷が可能となります。播種適期は、県内平坦部で8月中旬~9月上旬、播種後65日前後で根重1㌔に達します。


 また、根部はひげ根が少なくそろいが良好であり、空洞根や裂根の発生が少ないため歩留まりに優れています。「針形」の形状は機械収穫にも適します。


 完成したいぶりがっこの肉質の硬さを測定したところ、「秋田いぶりおばこ」と「香漬の助」の中間を示し、現代の消費者の()(こう)に沿う食感を実現しました。食味官能試験においても、香り、食感などの項目で良好な評価が得られています。


 本品種は25年に品種登録出願を行っており、27年から県内の生産者を対象に種子を本格販売する予定です。栽培しやすく加工面でも優れる「秋田いぶりむすめ」の普及により、県産ダイコンの安定生産といぶりがっこのさらなるブランド強化が期待されます。

 

秋田県農業試験場 

野菜・花き部 園芸育種・種苗チーム 宮腰開


◇次回は9月25日付

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