AIが灌水のタイミングを判断
モモなどの果樹の栽培では、水管理が重要です。多くの果樹園ではスプリンクラーなどを使って灌水(水やり)を行いますが、水不足が続くと、果実の肥大が抑えられ、水を与えすぎると糖度が低下するなど、果実の品質に影響することがあります。このため、樹
モモなどの果樹の栽培では、水管理が重要です。多くの果樹園ではスプリンクラーなどを使って灌水(水やり)を行いますが、水不足が続くと、果実の肥大が抑えられ、水を与えすぎると糖度が低下するなど、果実の品質に影響することがあります。このため、樹の状態に応じて、適切なタイミングで灌水することが求められます。
一般に、灌水の判断は、降雨量や土壌の状態などを元にした生産者の経験や勘に頼ることが少なくありません。しかし、同じ果樹園内であっても、樹ごとに根の張り方や吸水能力は異なります。そのため、土が乾いているように見えても樹は十分に水を吸収できている場合や、逆に外見では分かりにくい水不足が生じている場合があります。
これまで樹の水分状態を把握する技術として、葉を採取して専用の機器で測定する方法がありました。しかし、この方法は測定に手間がかかり、生産現場で利用するには負担が大きいという課題があります。そのため、樹の水分状態をより簡単に把握できる技術が求められています。
モモの樹は乾燥が進むと、葉のしおれなどの変化が現れます。そこで、農研機構では、AIを活用し、モモの樹を撮影した動画から水分状態を診断する技術を開発しました。生産者が樹の周囲を歩きながら、スマートフォンなどで約1分間動画を撮影し、葉の様子や樹全体の状態をAIで解析することで、水不足かどうかを診断します。
本技術により、高価な測定機器を使用したり、葉を採取したりすることなく、樹の水分状態を把握できるようになります。例えば、経験の浅い生産者でも、データに基づいて適切な灌水のタイミングを判断しやすくなります。将来的にはスマートフォンで手軽に診断できるアプリや、診断結果と連携した自動灌水装置への応用も期待されます。温暖化の影響で夏場の乾燥が厳しくなる中、本技術は高品質なモモの安定生産に貢献できると考えています。
農研機構 果樹茶業研究部門
ブドウ・カキ研究領域
ブドウ・カキスマート生産グループ長 山根 崇嘉
◇次回は11月27日付














