日中に蓄熱・夜間に放熱「エネバンク」 精和工業所
農業用ハウスの内部に設置することで夜間の温度低下を抑えられる不燃性の蓄熱放熱材「エネバンク」が、「ジャパン・レジリエンス・アワード2026」で優良賞を受賞した。日中にハウス内の熱を吸収し、室温が低下する夜間になると自動で放熱を始めるもの。
農業用ハウスの内部に設置することで夜間の温度低下を抑えられる不燃性の蓄熱放熱材「エネバンク」が、「ジャパン・レジリエンス・アワード2026」で優良賞を受賞した。日中にハウス内の熱を吸収し、室温が低下する夜間になると自動で放熱を始めるもの。燃料代の削減や環境負荷低減につながるとして、注目を集めている。
同資材を開発したのは㈱ヤノ技研(兵庫県宝塚市)の代表を務めていた矢野直達さん。現在はステンレス製品の製造などを手がける㈱精和工業所(同伊丹市)が事業を引き継ぎ、販売に向けた準備を進めている。
同資材に使われているのは、塩化カルシウムを主原料とした特殊な化合物。これを幅315㍉、高さ280㍉、厚さ27㍉のプラスチック容器に封入している。パラフィンなどを使った既存の蓄熱放熱材は可燃性のものが多い中で、同資材は不燃性。ハウスなどの建造物内でも安心して使うことが可能だ。
同資材の融点は18度(化合物の調合により、15度から27度まで変えられる)。18度より室温が高くなる日中は液体だが、夜間に18度を下回ると固体に変化する。物質は液体から固体に変化する過程で熱を放出する性質があり、その熱でハウスを温める仕組みだ。夜が明けて室温が18度を超えると再び液体に戻るため、何度でも繰り返し使うことができる。
設置の目安は1坪当たり5~10枚程度。ランニングコストがかからず、施設の構造や栽培スタイルに合わせて柔軟に設置できるのも特徴だ。既存の暖房器具などと併用することを想定しており、兵庫県立農林水産技術総合センターがトマトの栽培施設で実施した試験では、夜間の室温低下が緩やかになったことで暖房器具の稼働時間が約25%削減された。
現在、精和工業所では、同資材の量産に向けて製造設備を調整中。年内をめどに、受注開始をめざしている。同社商品事業部の後利彦さんは「農家の収益向上と脱炭素社会の実現に寄与できる製品。普及に向けて、試験データの収集にも力を入れていきたい」と話す。










