地域の課題を農業で解決 愛媛・西予市野村町 百姓百品グループ
生産と販売一体化、福祉事業と連携
「地域の課題を農業で解決する」――。中山間地・愛媛県西予市野村町にある「百姓百品グループ」は農産物直売所、農業法人、障がい者就労支援事業の三つの顔を持つ地域に密着した組織。生産と販売を一体化させ福祉事業と連
生産と販売一体化、福祉事業と連携
「地域の課題を農業で解決する」――。中山間地・愛媛県西予市野村町にある「百姓百品グループ」は農産物直売所、農業法人、障がい者就労支援事業の三つの顔を持つ地域に密着した組織。生産と販売を一体化させ福祉事業と連携して地域が抱える課題を解決、活性化につなげる。耕作放棄地の解消と再生にも力を尽くしている。
高齢者に活躍の場を創出
農産物を直売 百姓百品
百姓百品グループは、農産物直売所を運営する百姓百品㈱(福井美咲代表取締役、42)、農業法人の㈱ノムランド(井上桃子代表取締役、41)、障がい者福祉サービスを提供する㈱野村福祉園(細川弥生代表取締役)の三つの法人が連携しながら地域の活性化に取り組んでいる。
百姓百品は1998年、同地域で高齢化、人口減少が進むなか、高齢農家らが無理なく参加できる生産者組合から始まった。スーパーマーケットで野菜販売を開始。少量多品目の野菜を「B級品がもったいない」「お金にかえよう」と販売網を拡大。2006年に、株式会社化。野村町内に本部と常設店舗を設置し、生協コープえひめと提携するなど取引先を増やした。
契約する会員農家が毎朝、5カ所の集積場に農産物をコンテナで持参。松山市内の生協店舗販売コーナー(3店舗)の開店前までにトラックで順番に届けている。出荷する会員は小規模農家や高齢者、女性など約350人。売れれば自信が意欲に変わり、笑顔が地域を元気にしているという。加工品を含め売上額は年間2億4千万円を超える。会員は、入会金1千円と毎年2千円の会費を納め、販売額の約3割を手数料として組織に払う仕組みだ。
本部では価格表示を生協店舗のバーコードの規格で統一し、出荷者の生産履歴と販売実績を管理する。また、市や県の事業を活用し、毎週、東京都内にあるアンテナショップに農産物を送る事業も進める。
店のスタッフは配送ドライバーを含め23人。福井代表は、パートや市の臨時職員を経て百姓百品に勤める友人から誘われ、臨時雇用からスタートした。細やかな仕事ぶりと周囲をひきつける人柄で信頼を集め、38歳で代表を任された。福井代表は「会員農家が持続できる場を守りたい」とにこやかに話す。
ネギ周年栽培で担い手育て
放棄地も再生 ノムランド
08年に設立したノムランドは、「野村町(ノムラ)+ランド(土地)」の二つの単語から命名。「ワクワクするような住みたい町を創造したいとの思いを込めた」と語るのは井上代表だ。
同社は地域の担い手として農産物を生産。点在する約30カ所、約7㌶の農地(元水田)を借り、業務用青ネギ「朝霧ネギ」を栽培しており、外食・中食チェーンや加工会社など約30社と契約、通年栽培・周年出荷を実現している。年3作で、ハウスで育苗し露地で栽培、冬はトンネル栽培を行う。2年前から、小売り用小袋入りの販売も始めた。年間売上額は約7千万円。
社員7人の平均年齢は30歳で、市外・県外からの移住者が多いという。地元農業大学校の卒業生も採用、週休二日制を取り入れ若い力が活躍する。井上代表も移住者だ。10年に地域おこし協力隊員として北海道旭川市から西予市へ。3年間の地域活動の後、百姓百品グループに就職、3年前に代表を引き受けた。「青ネギで競合他社が増えてきたので、白色トウモロコシ〝雪の妖精〟やニンニク、サトイモの栽培なども始めた」と話す。
福祉で生産と販売つなぐ
障がい者が担い手 野村福祉園
ノムランドが生産する青ネギの出荷は順調だったが、出荷調整に時間を要することから人材確保が急務となった。そこで農作業などの一部を障がい者就労施設に委託する案が浮上し、13年に農福連携事業に着目して野村福祉園を設立した。就労継続支援B型事業所「レインボーアグリ」を開き、ノムランドと連携して週に6日間、農作業などを請け負う。
障がい者14人が施設支援員の指示のもとネギの育苗、集荷場での選別・袋詰め作業を行う。作業手順を図にして掲示し工程を細分化したことで、障がい者は自分に合った作業を見つけながら就労や社会参加の機会を模索する。施設外就労の拡大で、高い工賃(地域平均の約1.5倍)が支給され、活躍できる場になっている。
努力と工夫で解決するビジネス
茨城大学 福与徳文教授
地域を活性化する計画手法を研究する茨城大学農学部の福与徳文教授は「百姓百品グループは、身近で切実な課題を住民が話し合って解決策を見い出している。老若男女、地域内外を問わず多様な主体が活躍し新たな取り組みにつなげていけるかどうかが中山間地活性化の鍵を握る。地域の資源を活かし、努力と工夫により農業で解決するソーシャルビジネスを展開している」と分析する。














