親の遺言による農地取得 相続人への特定遺贈は農地法3条の許可不要

2026年08月07日

Q:先日父が亡くなりました。母は既に他界し、弟は県外にいるため、長男の私が父と農業をしていました。そのため父は遺言で農地はすべて私に相続させるとしていました。相続や遺言に関し農地法ではどのような取り扱いとなるのでしょうか。


A:民法では、被相

Q:先日父が亡くなりました。母は既に他界し、弟は県外にいるため、長男の私が父と農業をしていました。そのため父は遺言で農地はすべて私に相続させるとしていました。相続や遺言に関し農地法ではどのような取り扱いとなるのでしょうか。


A:民法では、被相続人の死亡により被相続人が有していた権利義務を相続人が承継すると定められています。このため、相続による権利取得は、そもそも一般の売買や貸借のように権利設定などのための法律行為がないことから、農地法3条の許可制度の対象外となっています。


 一方、遺言により農地の権利を取得する場合(遺贈)は、遺贈者の遺産を遺言において指定した者に無償で譲渡することとなるため、同法3条の許可制度の対象となります。


 この遺贈には包括遺贈と特定遺贈があり、包括遺贈は、特定の遺産を指定するのではなく、遺産の全部または一定割合を包括的に譲渡するもので、例えば、全財産の3分の1を譲るなどとするものです。これに対し特定遺贈は、遺産の中で特定の財産を指定して譲渡するもので、例えば、自宅の土地を譲るなどとするものです。


 農地法3条の許可の取り扱いとしては、包括遺贈では、遺贈を受ける者(包括受遺者)が相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)ことから、これに伴う許可は不要とする一方、特定遺贈は、目的物が確定した譲渡であることから、同法の許可を受ける必要があります。ただし、特定遺贈が相続人に対するものである場合は、許可不要となっています(農地法施行規則15条5号)。


 ご相談のケースは、相続人に対する特定遺贈になりますので、農地法3条の許可は不要です。


 また、ご相談のような相続などによる農地などの権利移動については、農業委員会がその動向を把握できないため、相続などにより権利を取得した者は、農業委員会へその旨を届け出る必要があります(農地法3条の3)。許可申請や届け出に関する詳細は、農業委員会へお尋ねください。


◇次回は9月4日付

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