鳥獣害の現場の声を県政へ 鳥取市・山本暁子さん





猟師と県議会議員の二足の草鞋
「地元に帰ってきたことで人生が変わった」――と笑顔で語るのは、鳥取県議会議員の山本暁子さん(45)。東京・大阪で勤めた後、祖父母の暮らしにあこがれ2018年に鳥取県に「孫ターン」。有害鳥獣の駆除をする猟師に。農地
猟師と県議会議員の二足の草鞋
「地元に帰ってきたことで人生が変わった」――と笑顔で語るのは、鳥取県議会議員の山本暁子さん(45)。東京・大阪で勤めた後、祖父母の暮らしにあこがれ2018年に鳥取県に「孫ターン」。有害鳥獣の駆除をする猟師に。農地利用最適化推進委員を2期、農業委員を1期務め、24年には県議会議員に就任し、猟師と議員の「二足の草鞋」で活躍している。
イノシシ肉のおいしさに感動
大阪府立大(現大阪公立大)工学部出身の山本さん。大学卒業後も大手飲料メーカーなどで勤務した。鳥取市への帰郷のきっかけは、東京で終電まで働く生活を繰り返す中、ふと「鳥取の祖父母のように暮らしたい」と思ったこと。祖父の死をきっかけに夫と相談して、18年に移住。プログラミングなどの在宅ワークをしながら祖父が残してくれた家で生活を始めた。
有害鳥獣駆除に取り組んだのは、移住して数カ月後、集落の草刈りの慰労会で食べたイノシシ肉のおいしさに感動したことと、自身の畑でも鳥獣による被害に直面したことがきっかけだ。畑を荒らされた後の喪失感と有害鳥獣対策の大変さを知り、有害鳥獣駆除の必要性を実感、猟友会や地域のサポートを受けて猟師になった。
イノシシやシカを中心に年間100頭以上の有害鳥獣をひとりで駆除していたが、最近は同市で大学生からベテランまでの猟師グループで協力して捕獲している。止め刺しの仕方を動画で記録して共有したり、猟で捕った獲物をジビエにする方法を指導したりと、後進の育成にも取り組んでいる。
グループではIOTを活用。わなで捕獲された獲物の情報をLINEで共有し、対応できるメンバーが現地へ行くようにしている。山本さんも議会の登庁前に対応に行くこともあるという。
中山間地は有害鳥獣に強い農業を
鳥獣による農作物などへの被害額は、全国で188億円、鳥取県では8千万円を超える(24年度)。山本さんは農業委員・推進委員時代の経験から「獲るのは一時的。根本的な対策から始めないと解決にならない」と思っていた。
農業委員から県議会議員になったとき「農業委員会は、地域計画の目標地図の素案作成の真っただ中。委員の皆さんにとっては迷惑なはずなのに背中を押してくれた」と当時を振り返る。補欠選挙で立候補し、当選した。
議員活動の中心は、農業・IT・教育で、最初に県に働きかけたのは有害鳥獣対策。実体験をもとに平井伸治知事に現場の現状を訴えた。県は野生鳥獣の被害対策や管理を担う二つの部署を「鳥獣害対策課」として一本化。狩猟に心得のある人材を鳥獣対策技術職の正職員として募集、今年4月から採用するとともにクマ対策室の設置にもつながった。
「中山間地は有害鳥獣に強い農業にしないといけない。平地と中山間地、それぞれの農業の形がある。農業委員会や地域とも連携してさらに地域農業を盛り上げたい。もちろん、有害鳥獣駆除も続けていく」と熱く語る。








