再生リン活かし複合肥料を製造 福岡 JA全農ふくれん
JA全農福岡県本部(ふくれん)は県内のJAグループで生産する家畜由来の堆肥と、福岡市の下水浄化過程で回収するリン酸(再生リン)を原料にした混合堆肥複合肥料「e・greenシリーズ」を開発し、販売。肥料価格が高止まりするなかでの輸入原料の代
JA全農福岡県本部(ふくれん)は県内のJAグループで生産する家畜由来の堆肥と、福岡市の下水浄化過程で回収するリン酸(再生リン)を原料にした混合堆肥複合肥料「e・greenシリーズ」を開発し、販売。肥料価格が高止まりするなかでの輸入原料の代替品、未利用資源の活用に取り組む。
化学肥料の価格高騰対策に
市の和白水処理センター(下水処理施設)から回収した再生リンと、JAグループが製造する家畜糞堆肥を混ぜたe・greenシリーズが、県内の各JAを通じて販売されている。
リン酸は農作物の健全な生育に不可欠で肥料原料に欠かせないが、ほぼ全量を輸入。国際情勢が国内の肥料価格に大きく影響するため、再生リンの活用は化学肥料の価格高騰対策になると考えられており、また、この肥料で育った農産物が住民の食卓に届いた後の資源循環も環境に配慮しているとして注目されている。
博多湾は、水の出入りが少ない閉鎖性水域で、海水の栄養過多で起きる水質汚濁(赤潮)を防ぐため、微生物で浄化された水を放流する。その際に下水汚泥にマグネシウム剤を添加し、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)を結晶化、リンの湾への流出を抑えてきた。
市は、1996年から下水中のリンをMAP化する取り組みを開始。2020年に施行された肥料取締法の一部改正により、堆肥などの特殊肥料と普通肥料の配合が可能となり、混合堆肥複合肥料の生産・販売が法的に認められた。21年には老朽化した和白水処理センターの設備更新で製造力が高まり、リンの回収量が増加(年間約130㌧)したことを機に、翌年、県内JAグループが生産した家畜糞(牛糞、豚糞)堆肥と再生リンとを混合したe・greenシリーズが共同で開発された。
発売当初、価格は既存品より2割ほど安く提供できた。ペレット化され、農作物に合わせて配合割合を変えた業務用と、家庭用の小袋入りなど現在約30銘柄を販売する。小袋商品は市福祉事業所の利用者が計量、袋詰めから出荷作業を担い、障がい者の雇用機会創出に貢献する。
e・greenシリーズを使う県内の園芸農家は「既存の化学肥料と比べ遜色はなく、安価で入手できる」という。
新設備でリン酸を安定確保
今年4月、JA全農ふくれんと市、施設設計会社の月島JFEアクアソリューション㈱の3者共同で、効率的にリンを回収する実証施設を市の西部水処理センター内に完成させた。国内最大規模の年間300㌧の回収をめざす。リンが豊富に含まれる余剰汚泥から回収することで、従来施設の半分の規模で同程度の回収量が見込めるという。
実証試験を進め、来年度から本格的にe・greenシリーズの原料に活用される。JA全農ふくれんは「再生リンを使う銘柄の拡大が可能となり、肥料の安定確保につながる」と話している。
この取り組みは、国内資源を原料にした肥料の利用推進の優れた事業を表彰する25年度の「国内肥料資源利用拡大アワード」(事務局=(一社)日本有機資源協会)で農林水産省農産局長賞を受賞した。












