Home

記事

農政

深層

”包む”素材の改質リグニン ナフサ調達不安への対応

2026年04月10日

 当初と暫定を問わず予算ではハラハラさせられたが、それ以上に重くのしかかってきたのは「ナフサに代表される石油関連物資の調達不安」(農水省筋)である。農林水産物それ自体ではない。食べるではなく〝包む〟ことの危機である。

 60年以上の昔は、豆腐

 当初と暫定を問わず予算ではハラハラさせられたが、それ以上に重くのしかかってきたのは「ナフサに代表される石油関連物資の調達不安」(農水省筋)である。農林水産物それ自体ではない。食べるではなく〝包む〟ことの危機である。

 60年以上の昔は、豆腐を買いにいくのに鍋を持たされたものである。パック化などで便利になり、見栄えの良くなった分、ひとたび供給が途絶えそうになるともはやパニックも同然となる。

 そこで「迂遠(うえん)な構想と言われようと、これを機会に紙と日本固有の樹木・スギをベースとする〝改質リグニン〟の利用拡大」に向けた検討へ動き出している。

 改質リグニンは国立研究開発法人『森林研究・整備機構』が手掛けるバイオ由来の新素材。熱に強く、加工しやすく、環境にやさしいなどなどメリットにあふれ、さまざまな製品の素材として利用拡大が期待されている。原料はスギ材に3割ほど含まれるリグニンだ。

 スギ材から繊維を取り除いた改質リグニンなら自動車のダッシュボードに使われるほどである。ワァーっといきたいところだが、問題はコスト。だが「何もないよりはマシ」。特に潤沢な森林資源のなかで、この半世紀ぐらい目の敵にされてきたスギが汚名返上、名誉回復する絶好のチャンスでもある。単に木材として伐り出すのではなく、樹木の更新も視野に入れた森林整備への道を開くことも期待される。

 外資のコーヒー販売チェーンはストローを紙素材にしたが、顧客から不評で石油由来のプラスチック素材への逆戻りを余儀なくされた。1か0かの全面転換ではなく、少しずつシフトするくらいの気持ちでの取り組みになってもいいはず。

 戦端が開かれた当初、石油は別として、農業関連では肥料原料の供給ルートがホルムズ海峡経由でないことが確認されていた。そして早く終わりそう…と考えられていたが、思うようにはなっていない。戦乱の一刻も早い平和裏での終結を切望する。

有料会員に登録すると会員限定の有料記事もお読みいただけます