ミニトマトのハウスで株元混植 岡山市・奥野靖之さん

2026年08月14日
     
ミニトマトのハウスでカブを収穫
4月上旬、ミニトマトが鈴なり。同時に株元で他の野菜も育っている
カブは赤(もものすけ)と白(聖護院大丸かぶ)の2品種
同じウネでトマト、ニンジン、レタスの3種混植
香りで虫よけ。土中の水分を調整してくれるので、トマトが甘くなる⁉(バジル)
葉かき収穫で何回もとれる。キク科の香りで害虫の忌避効果も期待(シュンギク)
トマトのウネの端で栽培(スナップエンドウ)
ネギの根に生息する共生菌が土壌病害を抑えてくれる⁉
葉物のない時期に高値で販売できた(リーフレタス)
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 奥野靖之さん(50歳)のハウスを見せてもらうと、足元にはカブやニンジンなどの根菜類、レタスやシュンギクなどの葉菜類……。あれ⁉ ここはミニトマトの畑なのに。


温暖化でミニトマトがつくりづらくなった


 「晴れの国おかやま」の南部に広がる干拓地で

 奥野靖之さん(50歳)のハウスを見せてもらうと、足元にはカブやニンジンなどの根菜類、レタスやシュンギクなどの葉菜類……。あれ⁉ ここはミニトマトの畑なのに。


温暖化でミニトマトがつくりづらくなった


 「晴れの国おかやま」の南部に広がる干拓地で就農して19年目。ハウスミニトマト(20㌃)、露地ナス(20㌃)のほか、時期に応じて季節の野菜を栽培しています。食べておいしい野菜をつくりたいと、愛情をこめて農業にいそしんでいます。


 私の場合、ミニトマトは9月に定植、11月から収穫開始、翌年の6月末まで出荷、7~8月に片付け、太陽熱処理、次作の準備となります。


 近年、特に感じるのが農業環境の変化です。たとえば、資材代、燃料代、人件費の高騰。それから気候変動。日頃から外で仕事をしているので、夜明けと夕暮れの気温、暑さ、寒さ、雨の降り方などを観察しているのですが、ここ4、5年でだいぶ変わってきたと感じています。高温対策で9月の定植を避けて、10月にずらしてみたら、収穫開始も大幅に遅れて経営的に苦しくなったり、春先も暑すぎてトマトのできが悪くなったり……。農業を続けていくうえで、今まで通りのやり方では難しくなってきました。


株元の空きスペースで稼ぐ


 環境の変化に対応できる、なにかよい野菜はないだろうか? 着目したのが、ミニトマトの株元の葉かきした空いたスペースです。そこで草丈の低い野菜や収穫の早い野菜をつくってみることにしました。たとえば、ミニトマトの定植と同時にコマツナやホウレンソウ、ベビーリーフなどのタネを播きます。すると、ミニトマトよりも先に葉物を収穫できるのです。


 ミニトマトは定植から最初の売上金が入るまでに約4カ月かかるのが課題でした。他の野菜を混植すれば、収入のない時期に、パートさんの仕事ができ、売り上げも増えます。混植は本気の栽培ではないので、「お試しで少量生産できる」「売れるかわからない野菜でも、畑と資材を用意せずに挑戦できる」「将来に向けて、違う品目を栽培する練習になる」といったよさがあります。自分の畑に合っていて、売れ行きもよければ、栽培面積を増やそうと思っています。


 24~25年はキャベツを10月中旬に定植して、1~2月に収穫したところ、ちょうど高値のときに直売所で販売できました。1玉400円で売れたのです。キュウリも10月中旬に定植し、12月から収穫。ミニトマトは完熟で収穫しますが、キュウリは未熟で収穫するので、どんどんとれます。しかも、他の人が出さない時期に1本80円ほどで売れました。


連作障害対策にもなる


 違う野菜を一緒に育てると、お互いの成長を助け、病害虫も防ぐ、コンパニオンプランツとしての効果もあるようです。トマトと相性がよいのは、バジルやパセリ、マリーゴールドなど。たとえば、バジルが土中の水分を吸収することで、トマトが甘くなるといわれています。一方で、水分の吸収なら、他の植物でもいいのでは?とも思っています。


 うちのハウスでは、春先になるとコナジラミが爆発的に増えます。少しでも抑えられないかと思い、コナジラミが嫌がる香りを出す植物を探してみることに。ローズマリーやラベンダーなどを育ててみましたが、あまり効果は感じられませんでした。


 同じ作物を同じ畑で続けて栽培すると、連作障害でできが悪くなったり、病害虫が増えたりします。対策として、夏に太陽熱処理を行いますが、「栽培期間中にできることはないだろうか」「混植により軽減できないだろうか」と考えました。


 ネギやニンニクなどをつくってみたところ、香り成分のアリシンの影響か、土壌病害が少なくなりました。違う科の野菜を育てることで、肥料分の偏りをなくすことができるかもしれません。混植した野菜の根がウネに広がり、水と空気の通り道ができ、土が固まるのを防いでいる感じがします。


農薬も肥料もミニトマトと一緒に


 混植をするときは、メインの作物の邪魔にならないように気をつけています。病害虫防除はミニトマトに合わせ、BT剤など、多くの野菜に使える農薬を選んでいます。石灰防除も効果的です。ただし、混植した野菜の病害虫があまりにもひどい場合は栽培を中止します。肥料はミニトマトにやるものだけです。


 これからも気候変動に強い野菜、自分の畑に合った野菜、ミニトマトと相性のよい野菜を探して、栽培経験を積み、農家として環境の変化に対応していこうと思います。


 (記事提供「現代農業」農文協)

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