メルコスールとの交渉開始へ 生産費上昇で市場開放に限界
メルコスール(南アメリカ南部共同市場)加盟国の首脳は6月末までに日本との貿易自由化交渉の開始に同意した(JETRO)。交渉入りを止められないか聞くとわが国政府筋は「なかなか難しい」と元気なく口は重い。
向こうが求める農産物の市場アクセス改
メルコスール(南アメリカ南部共同市場)加盟国の首脳は6月末までに日本との貿易自由化交渉の開始に同意した(JETRO)。交渉入りを止められないか聞くとわが国政府筋は「なかなか難しい」と元気なく口は重い。
向こうが求める農産物の市場アクセス改善についてはTPP合意で最後の防衛線が引かれている。条件が量的に同じでもメルコスールから入ってくるとなると、わが国農業にどう影響が出るか。十二分に考慮しながら交渉に臨まなければならない。場合によっては国内対策で対応か、入ってくる量で手を打つか、その両方なのか。政治の方ではそういう感じが見えてきているようだ。
グラスフェッド(牧草飼育)の牛肉で入ってくるのは外食、加工向け用途に限られると見られる。アメリカ産牛肉との競合が予想されるが、両者が量的に拡大すると食肉全体に価格下落が生じるのではないか。国内に不安があるのは事実だ。
WTO合意やTPPに比べてメルコスールの影響は小さいとしても、見逃せないのは二つの合意当時より国内生産のコストが比較にならないほど騰がっているという点だ。WTO大筋合意(1993年)時ならドル/円レートは110円台。TPP合意の2015年は120円台で推移していた。今の160円台が続けば農業資材・飼料などの輸入価格は高水準のまま。コストが下がらなければ大畜産経営が苦境に陥るのは火を見るより明らかであろう。これでは担い手がいなくなる。
長期的視点に立てばこれが一番大きな問題になる。小家畜経営なら生き残れるかもしれないが、大家畜は輸入に頼らざるを得なくなるのが危惧される。輸入大豆は搾油し、最後は濃厚飼料となって牛に給餌される。アメリカ産大豆一辺倒が現状だが、ブラジル産はアメリカ産に比べて栄養価が高い。輸入依存度の高い穀物を国産に…。食料安保確立への出発点はそこにあったはずだが、それが揺るがされかねないのが対メルコスール交渉の怖さと言えようか。








