「就農は地域の一員になること」 次代の担い手を育成 若狭町・かみなか農楽舎

2026年09月11日
     
かみなか農楽舎メンバー
取締役の八代さん
社員の指導のもと、機械操作を学ぶ研修生
研修生は共同生活を送る
農業委員らによる座学も行われる
研修では地域のお祭りにも参加
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 「私も県外から当社で研修して就農・定住した一人。新規就農では、地域の一員になることが重要」――。そう語るのは福井県若狭町の㈲かみなか農楽舎取締役で若狭町農業委員も務める八代恵里さん(45)。同社は地域の担い手として活躍しつつ、行政や地域と

 「私も県外から当社で研修して就農・定住した一人。新規就農では、地域の一員になることが重要」――。そう語るのは福井県若狭町の㈲かみなか農楽舎取締役で若狭町農業委員も務める八代恵里さん(45)。同社は地域の担い手として活躍しつつ、行政や地域と連携した人材育成に取り組んでいる。


 若狭町で2001年設立以来、新規就農者を輩出し続けている法人がある。かみなか農楽舎だ。


 同町では以前から農村総合公園内に観光農園の整備が想定されていたが、町の地域活性化には農地の保全と後継者育成が重要という問題意識から、新規就農者の育成に着目。町の就農定住研修事業とインターンシップ、農業体験、農業生産、直販の五つを行う法人として、町と地域住民、賛同する企業の3者が出資し同社は設立された。目標は「都市からの若者の就農・定住を促進し、集落を活性化する」こと。「農業を楽しむ学び舎」が社名の由来だ。


 同社は、これまで55人の卒業生を輩出。うち28人が若狭町内で就農しており、同社と卒業生で町内の農地の約15%を担っている。八代さんも大阪府出身で大学の専攻は理学部、同社の研修生を経て就農・定住した一人だ。新規就農者の伴走支援を継続できる理由を「自分や社員の大部分が研修生経験者。研修生が何が不安か気持ちがわかる」と語る。


 同社は人材育成の取り組みが評価され、18年には全国優良経営体表彰の担い手づくり部門で農林水産大臣賞を受賞。今では全国から取り組みを学ぼうと視察などの問い合わせが絶えない。八代さんは「人を大切に、農楽舎がコンスタントに人材を育てることで町や日本、ひいては世界の農業に貢献したい」と意欲を燃やす。


町と連携した研修支援


 同社は、町が行う「就農定住研修事業」で、町と連携した農業研修と農村生活研修を行っている。


 この研修は応募すれば参加できるわけではない。まず1週間程度のインターンシップを経て、町と同社の職員の面接を通過すれば、晴れて研修生となる。


 研修生は、同社内で共同生活をしながら最大2年間研修を行う。同社の研修棟には、個室が完備され、家賃や光熱費はかからない。研修期間中も原則週休2日で夏休みや冬休みもある。同社からの「研修奨励金」(1年目=月5万円、2年目=月7万円)か、国の事業である「就農準備資金」(年間165万円、2年間)のどちらかを選び、受け取ることができる。2年間の研修後には、町内に就農する場合は支度金(42万円)が支給される。


 同社で行われる2年間の研修内容は、多岐にわたる。1年目は、「農業の基本を学び、町での生活に慣れる期間」と位置づける。同社の社員が付き添い、農業機械の操作方法や栽培技術を学ぶ。地元農家で外部研修も行い、多様な品目や栽培方法に触れ、就農する際の経営方針や営農類型を研修する。


 2年目は、同社内で水稲を中心とした研修に加え、独立就農か雇用就農といった研修後の進路に合わせて自主課題を設定し、研修に取り組む。


 研修期間中は、農業委員や地域農業者を講師に招いた座学やミーティングも定期的に実施される。独立就農希望者は、就農後の経営に必要不可欠な販路の確保に向けた研修として、研修生自ら栽培したお米の営業もある。研修生のうちから売り先を見つけるプログラムだという。


文化など学ぶ研修も


 同社は就農への支援も早い。研修1年目の秋に行われる町内認定農業者との交流会を皮切りに、就農に向けた活動を開始。町内での就農希望の場合は、2年目の夏ごろから経営面積や作目などの面談を県や町、同社の職員と行う。


 その際、3㌶程の圃場や農業機械が確保できるかに加え、研修生は県外出身者も多いことから、住居や集落との世話人を確保し、スムーズに集落に入り就農できるように支援している。


 町の文化や言葉、習慣を学ぶ研修として、集落の祭事や地域行事へ参加することも特徴だ。八代さんも研修生時代に当時の社員が集落のしきたりや言葉を教えてくれたことは大いに役立ったという。


 「就農は、地域の一員になること。地域に自分を知ってもらうことも重要。農作業だけすればいいというのは違う」と八代さんは熱く語る。


【経営概況】かみなか農楽舎=水稲・野菜(ジャガイモ、サツマイモ、タマネギ、サトイモなど)・施設園芸(トマトなど)で合計45㌶を経営。売上高9462万円(25年)。取締役3人、社員4人。

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