人と野生鳥獣の共生を ―中山間地域の再興が必要―③ 元鹿児島大学教授・宮部芳照氏
野生鳥獣被害を減らすための具体策として、
①適正な個体群の管理(箱わな、囲いわなによる鳥獣の捕獲・駆除、センサーカメラ、ドローン、AIを活用した鳥獣追跡システムによる出没情報の見える化)
②鳥獣の侵入防止(電気柵などの設置)
③生息環境の管理(
野生鳥獣被害を減らすための具体策として、
①適正な個体群の管理(箱わな、囲いわなによる鳥獣の捕獲・駆除、センサーカメラ、ドローン、AIを活用した鳥獣追跡システムによる出没情報の見える化)
②鳥獣の侵入防止(電気柵などの設置)
③生息環境の管理(放任果樹の伐採、農作物による餌場・隠れ場の解消、生活ごみ撤去などの緩衝地帯の整備)
――以上の対策を複合的に組み合わせた施策が不可欠である。さらに、被害地域のハンターの確保やマッチング、捕獲後の鳥獣を食料やエネルギー源に利用する地域特性を生かした持続可能な循環システムの構築も必要である。
1960年代までのわが国の農山村は、中山間地域自体が人と野生鳥獣との境界を果たしてきたが、近年の少子高齢化による農林業の労働力不足や地球温暖化による自然環境の破壊、空き家の散在などが中山間地域の荒廃を加速させた。まさに、鳥獣被害は人間自らが招いた結果であり、「われわれ野生鳥獣にも生きる権利があるよ」との声が聞こえてくる。
まずは、中山間地域の再興こそが鳥獣被害防止への第一歩である。わが国の農地面積の約4割を占める中山間地域には傾斜地も多く、圃場の大区画化や大型農業機械の導入による生産性の向上はかなり難しい。政府もこれら地域への再興に種々支援してきたが、なかなか実効が上がらない。耕作放棄地も増加傾向にあり、農家の中には再興への諦めムードもある。しかし、清らかな水や空気、冷涼な気候など中山間地域の特性を活かした小規模ながら消費者ニーズに対応した農業生産が可能である。さらに、最近のスマート農業技術を導入して畜産・林業を含む多様な複合経営を取り入れることで市場性のある農林畜産物を産出し、農林業志向の若者たちへ就業意欲を高めることになる。このことが、新たな就農人材を生み出し、中山間地域の再興、ひいては野生鳥獣との共存・共生、鳥獣被害の減少につながる。
そのためには、今後一層の中山間地域への財政的支援と意欲ある専門人材の育成、地方自治体の広域的連携など官民あげた課題解決が不可欠である。








