Home

記事

農業委員会

農委活動の道しるべ

学校教育との連携をめざして⑧ 信州大学・渡邉綾 助教

2026年05月29日

 本連載では、これまで学校教育を中心に農業体験学習の現状を紹介してきました。そのなかでは、農業体験学習の将来について必ずしも明るい見通しではない話題も多かったかと思います。

 さらに、今後の教育改革が大きく影響する可能性があります。2010年

 本連載では、これまで学校教育を中心に農業体験学習の現状を紹介してきました。そのなかでは、農業体験学習の将来について必ずしも明るい見通しではない話題も多かったかと思います。

 さらに、今後の教育改革が大きく影響する可能性があります。2010年代以降、教育改革では「何ができるようになるか」という観点から、系統的な知識や技能の確実な習得と活用、その評価の明示化を重視する方針が強まっています。次の28年学習指導要領改訂でも、こうした方向性が引き続き重視されると考えられます。このような教育政策の流れのなかで、農業体験学習についても具体的な知識・技能やその評価がいっそう問われる可能性があります。

 では、学校での農業体験学習は今後なくなっていくのでしょうか。

 実際の学校現場からは、必ずしもそうとは言い切れないと考えられます。学校教員のアンケートでは農業体験学習を「やりたくてもやれない」という声が多く聞かれました(第3回)。また、21年度のアンケート調査にて、農業体験学習を実施した小学校のうち学習効果が「とてもある」「少しある」と回答した割合の合計が96%(n=455)となっていました。実施が難しいとはいえ、学校現場で農業体験学習の教育的な意義は認識されており、ニーズは根強いといえるでしょう。

 こうした状況を踏まえると、今後、農業体験学習を続けていくには、「どのように実施するのか」という方法の観点とあわせて、「なんのために実施するのか」という目的から問い直すことがより重要になると考えられます。農業体験学習は明確な制度的基盤がないからこそ、現場の裁量で各学校や地域の現状・課題に即したさまざまな実践が可能です。今後の農業体験学習のあり方を考えることは、現代社会における学校教育や地域農業の意義・役割を改めて見つめ直す、より広い視点を提示してくれるものといえるでしょう。

この項はおわり

有料会員に登録すると会員限定の有料記事もお読みいただけます