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若い世代が働き続けるため雇用条件改善-農業の人材確保に向けて(後編)-横田茂永氏

2026年10月09日
     
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就農しても数年でやめてしまうことも


 若い世代の農業への入り口として重要な役割を果たしている雇用就農であるが、雇用の継続性には課題もある。


 2025年で役員・構成員としての就業は新規雇用就農者の1割程度、農業での雇用条件は他産業に比べてよいと

就農しても数年でやめてしまうことも


 若い世代の農業への入り口として重要な役割を果たしている雇用就農であるが、雇用の継続性には課題もある。


 2025年で役員・構成員としての就業は新規雇用就農者の1割程度、農業での雇用条件は他産業に比べてよいとはいえないので、就農後数年でやめてしまうケースも少なくない。若い世代が継続的に農業に従事できるようにするためには、雇用条件の改善が最優先課題といえる。法人の中で、その立場をステップアップしていくようなキャリアパスの構築が望まれる。


 また、雇用就農から新規参入へとつなげる道筋も重要である。雇用就農に比べると新規参入は、非農家からの農業への入り口としては、かなりハードルが高い。25年の新規参入者は3360人で、新規雇用就農者1万250人の3分の1であり、年代的にも新規雇用就農者のピークが20代であるのに対して、新規参入者は40代、次いで30代が多くなっている。三つの経営資源の取得などを自分自身で行わなければならず、経営者としてさまざまな判断をすることにもなるので、新規雇用就農者よりもはるかに多くの経験や準備が求められるからである。


 これに加えて、近年の物価高騰が既存の農業者にはもちろん、新規参入者にはそれ以上に大きな影響を与えている。機械・施設にかかる費用の高騰は、新規参入時点での障壁となり、参入した後も、肥料・農薬の高騰が所得を圧迫し、最悪農業からの撤退につながってしまう。


 一方で、全国および都道府県の新規就農相談センターでの情報提供をはじめとして、農家・農業法人、JAやJA出資法人、地方自治体、農業委員会などの各(おの)々(おの)、あるいは各々が協力した支援体制が全国各地で見られるようになっている。とくにJAやその出資法人を中心とした支援体制は、研修や農地の権利取得に関わり、販路としての役割も果たしてくれることで、安定的に就農を実現させているケースが多い。これに地方自治体などが連携するとよりスムーズな就農につながっている。



多様な選択肢をコーディネイトする体制がない


 以上のように20代の新規雇用就農と30~40代までの新規参入の支援体制は比較的整備されているものの、必ずしも連動していないというのが実情である。雇用就農から法人内での役員昇格、雇用就農から新規参入あるいは雇用就農から離農後あらためての新規参入など、農業にとって必要な若い世代での農業への定着、復帰の多様な選択肢を段階的にコーディネイトしていくような体制は構築されていない。


 実際のところ、産業界の要望にマッチした人材の育成は、農業に限らない課題である。これを受けて、19年に施行されたのが、専門職大学など(専門職大学、専門職短期大学、専門職学科)の制度であり、産業界などと連携した高度で実践的な職業教育を担うことになっている。しかし、専門職大学などの数は現在25、農業関係では農業大学校からの転換が期待されたが、専門職短期大学が1、専門職大学が2にとどまっている。


 専門職大学などが思ったより増えていない理由の一つとして、制度への対応に労力を取られ、個別の産業界の特徴に応じた取り組みにまで達していないことが考えられる。農業では、大企業があるわけではなく、前述のように大学、短大卒業後に就職して人材育成が完了するというわけでもない。それを踏まえた対応が必要なのである。


 静岡県立農林環境専門職大学および静岡県立農林環境専門職大学短期大学部では、静岡市がJA静岡市およびJAしみずと連携して26年から実施している新規就農者支援事業であるトレーニングファーム(イチゴとかんきつ)に講義を提供する取り組みを開始した。これに終わることなく専門職大学などを中心とした教育機関とJA、地方自治体などの地域のステークホルダーが連携して、20代から40代にかけての教育・就農支援の体制を構築していくことが望まれる。



静岡県立農林環境専門職大学短期大学部 教授 横田 茂永

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