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農福連携で野菜の水耕栽培 大阪・泉南市 ハートランド

2026年10月23日
     
井谷代表(左)と山内部長
育苗専用の苗テラス内(写真の一部はハートランド提供)
根切りと収穫作業
計量・袋詰め作業
「大阪エコ農産物」認定のサラダほうれん草
開発した商品「ハートランドサブレ」
モチベーションを高める「がんばるシール」(山本さんのノート)
ケースにマス目を作ることで数が一目で分かる
創業以来の従業員・山本貴大さん
入社2年の従業員・水谷善輔さん
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 大阪府泉南市にあるハートランド㈱(井谷一学代表取締役、63)は、サラダほうれん草の生産、販売、6次化で年間通して安定経営をしている。また、就労の場を障がい者に提供し、難しい判断や作業をカバーするためコンピューター装備や高度な機械の導入、業

 大阪府泉南市にあるハートランド㈱(井谷一学代表取締役、63)は、サラダほうれん草の生産、販売、6次化で年間通して安定経営をしている。また、就労の場を障がい者に提供し、難しい判断や作業をカバーするためコンピューター装備や高度な機械の導入、業務の工夫など効率化も実現している。


特例子会社の適格法人は国内初


 同社は、文具やオフィス家具を製造・販売するコクヨ㈱の特例子会社。特例子会社としては国内初の農地所有適格法人だ。2006年に障がい者の雇用を進めるために設立され、翌年に農地所有適格法人、08年にコクヨの特例子会社となった。市の丘陵地帯にある農業団地の一角にあり、約28㌃の鉄骨連棟ハウスを含む41㌃の敷地を所有する。


 同社の農業参入のきっかけは、軟弱野菜の水耕栽培をする富山県の農業法人を知ったこと。障がい者が生き生きと働く姿を見て社会参画を促すなら農業が適任と考えたからだ。従業員は知的障がい者7人、精神障がい者1人など20人(4人は指導者(管理者)、アルバイト・パート就労者も含む)。就業時間は午前8時30分~午後5時30分、週休2日制で、障がい者は最寄り駅に集合し自社ワゴン車で送迎する。


 同社の主力のサラダほうれん草は平均で1日100㌔、年間最大で40㌧生産する。山内孝文総括部長(60)は「播種から収穫までの日数を逆算し、1日単位の緻密な生産計画からなる」と話す。定植から収穫まで夏場で14日、冬場で30日、年間17作の周年栽培。播種、定植、収穫、出荷調整(計量・袋詰め)と工程を整理、数字で示して手順を可視化して作業ミスを減らす工夫もしている。


6次化でグループの販促品製造


 同社のサラダほうれん草は「大阪エコ農産物」(農薬や化学肥料の使用回数や量を府内標準の半分以下で栽培)に認定されている。 


 営業黒字をめざし、6次産業化も展開。和洋菓子を製造・販売する岐阜県のメーカーと共同でほうれん草風味のサブレ「ハートランドサブレ」を開発した。一部店舗での限定販売やコクヨグループ内での取引先向けノベルティ(販促品)になり、認知拡大につなげる。


 「食品ロス解消の手法を模索するなか、加工食品として付加価値を高めたい。新たなビジネスチャンスに」と井谷代表は話す。


〈ハートランドの工夫Ⅰ〉

■障がい者に配慮した働きやすい職場づくり


①月間MVPの採用=終礼時に1日の業務を振り返り、MVPを決めモチベーションを高める。率先して仕事の準備をした人、大きな声であいさつできた人に管理者から「がんばるシール」が提供される。毎月、シールの獲得数が最も多かった従業員は月間MVPに表彰され記念品が贈られる。がんばりへの称賛は、職場全体の士気向上につながる。


②あいさつの励行=自発的に行い、ルールや良い習慣として実践する。障害の有無にかかわらず、あいさつする雰囲気を作ることで職場内での声掛けがしやすくなる。


③熱中症対策の強化=上半身を冷やす流水リュックやファン付き作業服を着用。定期的な水分補給や休憩を促進し夏期でも働ける環境を整えた。


〈ハートランドの工夫Ⅱ〉


■収益を確保する手法


 ①NFT式水耕栽培の導入=浅いつくりの栽培ベッドに、培養液を流して循環させるNFT式水耕栽培。ベッドは軽量で、作業しやすい位置に配置できる。水の使用量が抑えられ、加温や冷却にかかるエネルギー費用が低減する。


 ②3台の苗テラスの活用=通常は購入の苗を自社の苗テラス(人工光と閉鎖型の育苗装置)で作る。温湿度、炭酸ガス濃度など自動環境制御により良質苗を均一に生産。


 ③24時間コンピューター管理と高度な機械による効率化=ハウス内を24時間自動制御し、品質を保持する。覆土機や自動包装機、ケースの中にマス目を作り、数が一目で分かる仕組みなどのアイデアを取り入れる。


 ④販路の確保=販路を複数開拓することでリスクを分散させることができる。大手量販店、百貨店、外食産業、市場に継続して販売する


〈ハートランドの工夫Ⅲ〉


■地域との連携


 計量・袋詰めには時間と手間がかかるため地域の就労継続支援B型事業所(5施設)と契約。毎日、施設利用者5~7人に仕上げ作業を委託する。


 この結果、障がい者の施設外就労受け入れ数は年間延べ4千人に広がった。井谷代表は「農業には大きな魅力や気付きがある。経営改善を進め、安定生産と有利販売による収益向上に努めたい」と話す。


〈月間MVPの獲得増やしたい〉創業以来の従業員・山本貴大さん(40)の話


 「自分たちが育てた野菜がスーパーに並んでいるのを見るとうれしい。栽培はストレスの軽減や気分の向上につながる。積極的に動き、元気よくあいさつして月間MVP賞の獲得を増やしたい」


〈作業を短時間で終えると達成感〉入社2年の従業員・水谷善輔さん(19)の話


 「府立の高等支援学校にいる時、ここで実習訓練を受けて就職先に決めた。栽培ベッドの洗浄作業で時間がかかる時もあるが、短時間で終えたときは達成感がある。経験を積み、力を発揮したい」

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