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集落営農存続へ若い人材雇用 経営権移譲視野に育成 彦根市・フレンドリーファームいしでら

2026年09月18日
     
上田さん(右)と北井さん
琵琶湖のほとりに広がる同法人の田畑
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 集落営農法人の数が、2026年の調査でついに減少に転じた。農水省が05年に調査を始めて以来、初めてのことだ。構成員の高齢化が進み、解散せざるを得なくなった法人が増えているとみられる。そんな中、組織存続に向けて若い従業員を雇用・専従化し、経

 集落営農法人の数が、2026年の調査でついに減少に転じた。農水省が05年に調査を始めて以来、初めてのことだ。構成員の高齢化が進み、解散せざるを得なくなった法人が増えているとみられる。そんな中、組織存続に向けて若い従業員を雇用・専従化し、経営権の移譲を見据えて育成を進めている法人もある。滋賀県彦根市で米や麦など80㌶を経営する (農) フレンドリーファームいしでらを取材した。


 「自分たちはまだできるという感覚を捨てること。70歳以上の構成員は戦力としてカウントしないこと。そうした意識を共有することが、集落営農の存続に向けた第一歩になる」――。同法人代表理事の上田泰行さん(72)はそう話す。


 従業員の雇用を考えるきっかけとなったのは、70代の構成員数人が体調を崩し農作業ができなくなったこと。法人化から5年が経過した16年のことだった。当時営農に従事していた構成員は21人で、その7割近くが65歳以上。「同じようなことが続けば、たちまち組織は立ち行かなくなる」――そんな危機意識が法人内に広がった。


 従業員の募集に当たってまず取り組んだのが、労働環境の整備だ。めざしたのは一般企業並みの環境づくり。強制適用となる雇用保険や労災保険はもちろんのこと、退職金制度や福利厚生、業務に必要な免許取得費用の助成規定など、社会保険労務士にも相談しながら整備を進めた。


 人材募集にはハローワークとインターネットの求人サイトを活用した。雇用のチャンスを集落外にも広げるためだ。結果的にはこれが功を奏し、集落外から35歳以下の若手3人を採用することに成功。そのうちの一人、北井孝幸さん(29)は「決め手となったのは労働環境の良さ。上田代表の勧めもあって、他の農業法人や農家にも話を聞いた上で、ここに就職することを決めた」と話す。


従事分量配当制から時給制へ


 従業員の雇用に伴い、利益剰余金を構成員で分配する従事分量配当制を廃止。労働時間当たりの給与を支払う時給制に移行した。目的は設備投資のための内部留保を十分に確保すること。機械の導入や更新、施設の整備など、今では毎年1500万~2千万円ほどを設備投資に回している。上田さんは「雇用した従業員を中心に長く経営を続けていくためには、最新の機械による省力化が不可欠。これまでのような感覚的営農から脱却し、データに基づいた営農に変えていくことも必要だった」と説明する。


 3人の従業員の育成にある程度めどがついた段階で、構成員は従業員のサポートに徹する体制に変えた。これからを担う従業員らが主体となって営農に取り組める環境をつくるためだ。必要以上に口出しはせず、困ったときにはいつでも相談に応じる――構成員は適度な距離感を保つことを心がけている。


 設立当時の構成員は多くが引退し、上田さんら残る6人もほとんどが70代となった現在。いよいよ経営権の移譲に向け本格的な準備を進めている。新たな労働力の確保、資産の整理など課題も多いが、早ければ来年の3月にも経営権を移譲したい考えだ。農地を守る「集落営農的経営」から利益を追求する「企業的経営」に転換するため、株式会社化も視野に入れる。


 県内の集落営農法人から相談を受けることも多いという上田さん。「後継者育成には時間がかかる上、良い人材がすぐに見つかるとも限らない。気づいた時には手遅れという事態を避けるためにも、構成員が元気なうちに準備が必要だということを伝えている」と話す。


 農水省は5月、26年集落営農実態調査の結果を公表した。26年2月1日時点の集落営農法人数は5796で、前年から56減少。集落営農法人の数が減少したのは、調査を開始した05年以来、初めてのことだ。


 法人形態別に見ると、農事組合法人が前年から75減少して5018。株式会社は12増えて660、合同会社などその他の法人も7増えて118だった。


 非法人も含めた集落営農の総数は1万3622となり、前年に比べ330(2.4%)減少。ピークだった17年を境に9年連続の減少となった。一方で集落営農に占める法人の割合は一貫して増加を続けている。今回の調査では42.5%となり、前年に比べ0.6㌽上昇した。

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