自ら道を切り拓く外国人材を育成 群馬・昭和村 農園星ノ環








標高750㍍にある群馬県昭和村の㈲農園星ノ環(星野高章代表取締役社長、51)は、人手不足解消と農産物の販売促進をめざし外国人技能実習生や特定技能外国人を受け入れる。能力発揮の機会をつくり、帰国後の起業に備えた「自立型人材の育成
標高750㍍にある群馬県昭和村の㈲農園星ノ環(星野高章代表取締役社長、51)は、人手不足解消と農産物の販売促進をめざし外国人技能実習生や特定技能外国人を受け入れる。能力発揮の機会をつくり、帰国後の起業に備えた「自立型人材の育成」に力を注ぐなど、キャリアアップ支援とコミュニケーション強化で「人と野菜が一緒に育つ農場」をめざす。
能力発揮する機会を創出
同社はこれまで、インドネシアなどの外国人材を60人以上受け入れてきた。
日本語能力向上やキャリア形成を目的としたスキルアップの支援に力を入れており、学習支援で日本語能力試験の初回受験費の補助、試験対策として勤務時間外に学習のサポートなどをしている。3年間の技能実習を終えた際は修了式を開き、日本語で書いた修了証書を手渡して記念品を贈る。
同社が本格的に人材教育を始めたのは2015年から。人生設計に直結した「自立型人材の育成」を進めており、いかなる環境・条件のなかでも自らの能力と可能性を最大限に発揮し、道を切り拓いていこうとする姿勢を持つ人材を養成していくのがモットーだ。他者や会社のせいにしない姿勢を育み、ワンランク上の在留資格への移行を後押しする。
星野さん自身は大学卒業後、同村に戻り家業に就いた3代目だ。戦後、先々代が入植し農業の土台をつくり、畑を受け継いだ。06年に法人化。総務担当の妻・美樹さん(49)は、大手航空会社の関連企業で広報宣伝の仕事を経験し、結婚を機に退職、14年に就農した。
星野さん夫妻は受け入れた外国人から「日本のお父さん、お母さん」として慕われている。
将来へ目標設定と管理学ぶ
同社では、外国人材が効率的に業務を進めるため、入社2年目からビジネスプランづくり(目標の設定と管理)を教える。
1カ月間の目標の立て方とプロセスを学び、10日ごとに進捗状況の確認や振り返りをする形式だ。収益などのデータを比べて経営上の課題を見つけ、原因や改善案を考える。「帰国後に働く場所ができればキャリアが活かせ、人生にメリットになる。日本で過ごした時間が価値のあるものになれば」と星野さん。
業務内容は、すべて日本語で記録・報告する。終礼は当番制で、その日の業務の報告とあったことへの感謝を日本語で発表する。日本語を使う機会を多く持たせているという。
福利厚生も充実しており、住居の確保や家具の準備、行政の手続きなどはもちろん、自動車免許取得費の補助、外国免許の切り替えの支援もするなど、安心して働ける環境を整える。
社内での交流やコミュニケーションも重視する。定期的に食事会を開き、日本料理と外国人材の母国料理を一緒に食べる。誕生日会や社員旅行、花見や祭りなどの季節の行事、地域行事への参加など文化的な交流を楽しみ、地域に溶け込む機会を作っている。
成長していく外国人材の姿は、日本人社員のモチベーションの向上にもつながっているという。
育った外国人材が戦力に
同社で育った外国人材は、チームリーダーとして戦力になっている。
2年前、在留資格・特定技能2号の試験に合格したインドネシア人のワンディ・サプトラさん(31)は、露地野菜チームのリーダーで日本人の農場長の右腕だ。特定技能の試験は自らの意志で受験。技能実習から特定技能1号を経て2号に至った。日本で11年にわたり農業経験を積み、キャリアアップをしてきた。日本語能力試験N2レベルにも合格、会社の利益を生み出す貴重な人材のひとりに成長した。
実家は西ジャワ州チアンジュールにあり、水稲栽培とパームシュガー(ヤシの樹液から採種してつくる砂糖)を製造する。「将来、経営を大きくして雇用を導入したい」と目を輝かす。
特定技能1号で2年目のロヒマさん(25)は施設栽培チームで、イチゴの栽培管理を行う。インドネシアの離島ナトゥナ諸島の出身で農業高校の食品加工科を卒業後、日本での就労を強く希望していた。姉もかつて同社で働いていたという。
後輩の面倒をよく見てくれ、責任を持って仕事をすると評価も高い。将来は「料理するのが好きなので、飲食に関連する仕事をしたい」と話す。
星野さんは「異国で働き人生を変えたいという高い志を持つ外国人材を獲得することで、互いに影響し合い組織の意識や生産性が高まる。資格獲得へ積極的に挑戦することで在留期間を延ばすことができ、長期的な雇用計画を組みやすくなる。星ノ環が外国人材の目にとまり、就労先として選んでもらえればうれしい」とにこやかに話す。








