大都市における農業の生き残り策 明治大学名誉教授・青山佾
高市早苗首相は国会で「食料自給率100%をめざしていきたい」と発言した。これに対して「農地を現在の3・1倍に増やさなければ実現できない」「農地の集約やスマート化による生産性向上だけでは不可能」「そもそも農業従事者が減るばかり」など消極的な
高市早苗首相は国会で「食料自給率100%をめざしていきたい」と発言した。これに対して「農地を現在の3・1倍に増やさなければ実現できない」「農地の集約やスマート化による生産性向上だけでは不可能」「そもそも農業従事者が減るばかり」など消極的な意見も出されている。食料自給率が37%に低下しているのだから、強い危機感をもって自給率向上策を議論すべきだ。
フランス、オランダ、オーストリアなどヨーロッパ諸国の自給率が高い理由としては農家に対する充実した所得補償政策が挙げられるが、これらの国では農村でも都市的な生活を送ることができることも農業従事者を確保できている一つの重要な要因である。
日本でも農村地帯における文化的生活インフラの整備に努めてきたが、これからも一層の向上を図る必要がある。一方で都市に農地を増やすことも必要だ。国勢調査によると、日本全体の人口は減り続けているのに、20の政令指定都市と東京23区の計21大都市のうち3分の2以上の都市では逆に人口が増えている。
これらの大都市では農地が減少し宅地化されているわけだが、これを必然であるとしてあきらめずに農地を確保することが大切だ。農水省の生産農業所得統計によって47都道府県の農業産出額を見ると1位北海道、2位鹿児島県だが、3位は茨城県、4位は千葉県である。
これは大都市近郊の農業は鮮度や輸送コストなどで有利な面もあることを示している。この農業産出額を都道府県面積で割ってみると、1平方㌔㍍当たりの産出額の全国1位は茨城県、2位は千葉県、3位は愛知県となり大都市近郊の優位性が鮮明になる。
大都市の内部の自治体別に同種の計算をしてみると、たとえば東京都の多摩では、23区に近い市の単位面積当たりの産出額が高い傾向が見られる。市街化区域内の生産緑地が生き残っている理由の一つは生産品種面などで消費地に近い有利性を生かした農業経営に努めてきたからである。
せっかく生き残ってきた大都市の農業だが、地価の急激な上昇により相続税のために継承できなくなってきている。納税猶予対象に畜舎を加えるなど対策を急ぐべきである。
◇次回は11月27日付








