環境省の外来生物対策費要求大幅増額に思う 明治大学名誉教授・青山佾
来年度の環境省の概算要求で外来生物対策費が本年度の約6億円から約67億円と10倍以上になったことが大きく報道された。農水省の概算要求でも消費・安全対策交付金が約19億円から約57億円と約3倍に増えている。
これらはクビアカツヤカミキリ、ヒ
来年度の環境省の概算要求で外来生物対策費が本年度の約6億円から約67億円と10倍以上になったことが大きく報道された。農水省の概算要求でも消費・安全対策交付金が約19億円から約57億円と約3倍に増えている。
これらはクビアカツヤカミキリ、ヒアリ、アライグマ、キョンなど外来生物に対して樹幹へのネット巻き、薬剤の樹幹注入・薬剤散布・被害木の伐採や駆除・防除対策などに使われるが、自治体に対する2分の1補助の制度が多いから、日本全体としては約200億円以上が対策に使われることが可能となる。
クビアカツヤカミキリはサクラ、ウメ、モモなどのバラ科樹を中心に大きな被害を発生させている。農地だけでなく街路樹や公園など公共施設の樹木が犠牲になっていて、環境省と農水省が共同でクビアカツヤカミキリ対策本部を設置し環境大臣と農水大臣が本部長となっている。
外来生物による害虫被害は、農作物だけでなく都市の緑・日本の歴史文化・観光資源の被害へと問題が広がっており対策も国を挙げての対策へと次元が変わった。本年度はいわば外来害虫対策元年ともいうべき年となった。
クビアカツヤカミキリの幼虫は樹木の内部で2~3年ほど生活する。輸入木材や木製パレット、梱包材の中に潜んで日本に入ってきて各地に拡散し成虫になって繁殖した可能性が高いとされている。
外来害虫を防ぐため各国とも国境検疫を強化している。オーストラリア、ニュージーランドなどはこれを国家安全保障の一環と位置づけて動植物のバイオセキュリティを一つの大きな組織で担っている。日本の場合は、植物防疫と動物検疫は農水省、環境省は外来生物法などを担当しているが今後これをさらに強化することも課題となっている。
日本では農地と住宅地、公園、街路樹、森林が近接しているので、国内防疫も重要である。オーストラリアやニュージーランドでは公園や森林の入り口に靴の洗浄ステーションがあり入園者は必ずそこを通る。日本でも最近はそういう対策を見ることが多くなった。今後はその種の対策の強化も求められる。外国農産物の輸入には慎重さが大切だ。
◇次回は10月23日付








