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地球と人に優しいコチョウランを栽培 和歌山 有田市ヒカル・オーキッド

2026年05月29日
     
佐原社長。東京農大在学時にコチョウランの美しさに魅了された(写真は全て同社提供)
フォアスの構造
フォアスプレミアム3本立ち。3本立ちが最も需要が高い
支柱には竹ひご、ヒノキ、熊野黒竹を使用。高級感が出るよう備長炭を塗って黒色に仕上げた
有田市の山際に広がる同社農場(手前の白いハウス)
特別な日の料理を華やかに彩る
同社ハウス内で出荷を待つコチョウラン
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 就任や昇進、新規開店など、慶事を祝う場面を彩る「コチョウラン」。その華やかさとは裏腹に、花が終わると残される鉢や支柱といった産業廃棄物の処分が課題となっている。㈲ヒカル・オーキッド(和歌山県有田市)は、産業廃棄物ゼロのコチョウラン「FOR

 就任や昇進、新規開店など、慶事を祝う場面を彩る「コチョウラン」。その華やかさとは裏腹に、花が終わると残される鉢や支柱といった産業廃棄物の処分が課題となっている。㈲ヒカル・オーキッド(和歌山県有田市)は、産業廃棄物ゼロのコチョウラン「FOR EARTH(フォアス)」やコチョウランの無料回収サービス「フォアスゼロ」で、環境負荷低減をめざす。


〇由来は〝一つしかない地球のために〟フォアス 構想から5年かけ完成 

 ヒカル・オーキッドは、1983年に創業。年間10万株を生産する国内最大級のコチョウラン生産農家だ。

 構想から5年の歳月を経て、廃棄物が発生しないコチョウラン「フォアス」を2022年から販売している。コチョウランの鉢を構成するパーツ全てを、自然に還る素材に変更。コチョウランに新たな価値を付加した商品だ=図。

 開発に至る背景には、佐原宏代表取締役社長(69)の、コチョウランから発生する産業廃棄物の多さへの問題意識がある。佐原社長は「このままではいずれコチョウランの贈答文化が無くなってしまうのではないか」という強い危機感を抱いていた。

 町なかで目にするコチョウランは、しなやかに垂れ下がった花茎に、一糸乱れず花が並ぶ。この美しい見た目を作り出すために、一つの鉢に多数の不燃性物質が使われている。茎を支える鉄製の支柱や、茎と支柱を固定するプラスチック製クリップ、陶器製の外鉢に、鉢の中の空洞を埋め根を固定するための発泡スチロール材――。花が終われば、こうした部品は全て産業廃棄物となる。また、適切に管理すれば7、8回は繰り返し花を咲かせられるコチョウランの株も、多くは一度花が落ちれば廃棄されている。同社によれば、廃棄量は国内で年間200万鉢にもおよぶという。顧客からも、こうした処分を負担に感じる声が多かった。

 フォアスは全て自然由来の素材のため、全て事業系一般廃棄物で処分することができる。まさに贈られた「人」にも「環境」にも優しいコチョウランだ。

 同社の製品はいずれ全てフォアスに統一したい考えだが、最大の課題は、市場への流通拡大だ。

 市場に出るコチョウランは、一定の規格のもと流通するため、一般的なコチョウランとは異なる素材の部品を使うフォアスは、受け入れられていないのが現状だという。

 広報担当の吉田亮さんは「フォアスをより多く市場に流通させられれば、部品を大量生産でき生産コストを抑えられるメリットもある」と話す。


〇花が終われば無料回収し再生へ 処分の心理的負担も減らす

  同社は昨年から、コチョウランの持続可能性をさらに高める取り組みを始めた。

 花が終わったコチョウランを無料で回収し、別の商品に生まれ変わらせるサービス「フォアスゼロ」だ。このサービスは、配送伝票を同封したコチョウランを届け、梱{{こん}}包{{ぽう}}箱と伝票を花が終わるまで保管してもらう。花が終われば、顧客は鉢ごと梱包箱に入れて同社に送り返す仕組みだ。

 生き物である株を処分することへの心苦しさを感じていた顧客もおり、処分の手間だけでなく心理的な負担も減ったと好評を博している。

 これまで返送されてきた株のほとんどが再生可能な状態で戻ってきており、廃棄は発生していない。

 同社はベトナムや台湾から苗を輸入し栽培している。フォアスゼロで返送されてきた株は、半年ほど育てれば別の製品として売り出せるまでに成長するため、国内でのコチョウランの循環が実現できる。

 フォアスとフォアスゼロは、「一過性」「廃棄が多い」といったこれまでのコチョウランのイメージを転換するものと評価され「ソーシャルプロダクツ・アワード2026」で環境大臣特別賞を受賞した。


〇ブライダル業界への普及も

 現在の同社の顧客の9割は法人で、春や秋の人事異動の時期や、株主総会が開かれることが多い6月に特に需要が高まる。

 今後は、食用コチョウランの需要も高めたい考えだ。その一環として今年3月、食べられるコチョウラン「エディブルオーキッド」の販売を始めた。さまざまな検査もクリアしており、観賞用とは栽培するハウスを完全に分けている。すでにレストランでサラダのアクセントとして使われたり、ウエディングケーキを彩った実績もある。

 吉田さんは「コチョウランの花言葉は〝幸せが舞い込んでくる〟。ブライダル業界の方にぜひ使ってほしい」と熱視線を送る。6月に東京ビッグサイトで開催されるブライダル産業フェア2026にも出展し、普及を狙う。



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