主食用米原料に日本酒開発 愛知・愛西市 渡辺酒造




愛知県愛西市の渡辺酒造㈱(山田栄治代表取締役、48)が、主食用米「にこまる」を原料に使った日本酒を開発し、4月から限定販売を開始した。主食用米は粒が硬く割れやすいなど、日本酒づくりには不向きとされてきた中で、創業160年を誇る技術を駆使し
愛知県愛西市の渡辺酒造㈱(山田栄治代表取締役、48)が、主食用米「にこまる」を原料に使った日本酒を開発し、4月から限定販売を開始した。主食用米は粒が硬く割れやすいなど、日本酒づくりには不向きとされてきた中で、創業160年を誇る技術を駆使し製品化に成功。昨今の酒米不足解消のほか、主食用米の生産基盤維持にもつながるとして、期待が高まっている。
精米歩合40%の大吟醸に
「食べておいしいお米は、お酒にしてもおいしいのではないか」――。山田さんのそんな発想から挑戦が始まった。単なる新商品の開発をめざしたわけではない。念頭にあったのは酒造業界や農業界の未来だ。
山田さんは「近年は主食用米不足のあおりを受け、酒米が入手しづらい状況が続いていた。主食用米で日本酒ができればその問題が解決するだけでなく、主食用米に新たな需要が生まれ、生産基盤の維持や競争による品質向上も見込める。そうなれば酒造会社だけでなく、生産者や消費者にとってもプラスになる」と話す。
数ある主食用米の中から「にこまる」を選んだのは、粒が大きいためだ。日本酒の原料となる米は精米歩合70%以下まで磨くのが一般的。粒が小さいと精米過程で割れてしまい、品質のよい日本酒はできない。今回の取り組みでは「にこまる」を精米歩合40%まで磨き上げ、雑味が少ないとされる大吟醸に仕上げることに成功した。
精米以外の工程も試行錯誤の連続だった。主食用米と酒造好適米では、あらゆる面で性質が異なるのがその理由だ。米を蒸す前の浸水時間は1秒単位で調整し、発酵を促す酵母の種類も変更。日本酒づくりに必要とされる心白(デンプン)が少ない点は、もろみの発酵期間を10日ほど延ばすことでカバーした。
限定販売で普及狙う
同社は昨年9月より、製造する銘柄を、酒造好適米・山田錦を原料にした純米大吟醸「弥栄の酒 寿」一本に絞って勝負している。今回の取り組みでめざしたのは「同じ酒を、異なる原料でどこまで突き詰められるか」。山田さんは「味や香りの骨格は変わらない中で、『にこまる』由来の表情の違いが見える、そんな日本酒に仕上がった。山田錦で仕込んだものと比べて若干甘く、角が取れた印象」と評価する。
完成したにこまる仕込みの日本酒は、既存顧客や公式会員限定で販売しており、当面の間、一般販売は行わない予定。あえて広く売らないことで、注目を集めるのが狙いだ。
山田さんは「注目が集まればまねてもらえる可能性も高まり、普及が早まる。多くの酒蔵が当たり前のように主食用米で日本酒をつくる、そんな流れをつくっていきたい」と意欲を見せる。








