4月から食料システム法が完全施行 売り手と買い手の努力義務とは



4月1日から完全施行となった食料システム法。飲食料品等(注1)を取引する売り手と買い手に課せられた努力義務とは何か。どのようなケースが努力義務違反になりうるのか。ポイントを確認する。
誠実協議と検討・協力が必要に
努力義務には二つあり、飲食
4月1日から完全施行となった食料システム法。飲食料品等(注1)を取引する売り手と買い手に課せられた努力義務とは何か。どのようなケースが努力義務違反になりうるのか。ポイントを確認する。
誠実協議と検討・協力が必要に
努力義務には二つあり、飲食料品等を取引する売り手と買い手の双方の事業者にかかってくる(一般消費者は対象外)。
一つ目は【取引条件に係る誠実協議】で、例えば「最近コストが上がってきたため、適正に価格転嫁したいので交渉に応じてほしい」などと協議の申し出があった場合、誠実に応じること。
二つ目は【商慣習などに係る検討・協力】で、例えば「3分の1ルール(注2)を見直して、納品期限を緩和してほしい」などと商慣習などの見直しについて提案があった場合に検討・協力すること。
この努力義務は、すべての飲食料品等の取引が対象となる(セリや入札などは対象外)。これらがきちんと果たされているかを判断するための基準が省令で定められていて、その実効性を確保するための仕組みとして、専門スタッフ(フードGメン)による情報収集・状況把握、指導・助言、勧告・公表などが措置されている。
「協議に応じない」などは違反
努力義務違反となりうる具体的な事例は次のとおり。
・事例1 速やかに協議に応じない
協議の申し出を受けたのに繁忙期を理由に取り合わない、あるいは定期的に協議したいと言われていたにもかかわらず、一方的に応じないケース。
相手方から具体的にいつまでに協議したいと期限が示されてる場合はその期限までに、示されていない場合は1カ月程度を目安に協議を開始する必要がある。期限までに協議できない事情がある場合は合理的な理由(同省が総合的に判断)を説明し、相手方の理解を得ないと指導などの対象になる場合がある。
・事例2 資料(公的統計など)を尊重しない
公的統計やコスト指標(注3)などを使ってコストが高騰していることを説明したにもかかわらず、根拠のある資料として扱わないケース。その上で、容易に算出できないデータや調査を要するデータ、営業上秘密にしているデータの提出を求めるなど、相手方に過度な負担を強いると協議を委縮・やめさせる行為にも該当し、努力義務を果たしていないと判断される恐れがある。ただし、同省は「必要な限度において追加の情報を求めることは努力義務違反にはあたらない」としている。
・事例3 取引条件を一方的に決定してしまう
例えば「補助金をこれだけ受け取っているんだから」と一方的に納品価格を引き下げる決定をしてしまうようなケース。
・事例4 商慣習の見直し等の提案に対し、速やかに検討・協力しない
「よそも3分の1ルールでやっている」などと検討することなく取り合わない、あるいは見直しについて合意したにもかかわらず実行に移さないケース。
・事例5 協議の申し出等のみを理由とした不利益な取り扱いをする
「最近、コスト上がってるから協議に応じてほしい」と協議を申し出た相手方に「そんなことを言うんだったらこれ以上取引しない」などと申し出を取り下げさせるケース。ただし、例えば値上げを受け入れたことで売り上げが悪くなり、結果として取引数量が減ってしまうような場合については、ただちに努力義務違反にはあたらないと同省は説明している。
・事例6 協議の申し出等に対する検討結果を説明しない
「受け入れられない」と回答するだけでは「誠実な協議」「必要な検討・協力」をしたと相手方には伝わらない。検討の結果、どの部分が受け入れられないのか理由をきちんと説明する必要がある。
農水省ホームページの「食料システム法」に「努力義務・判断基準ガイドブック」など関係資料が掲載されている。
【注1】①飲食料品②飲食料品の原料や材料として使用されるもの(例えばコンニャクイモや茶葉、生乳など)
【注2】製造から賞味期限までの期間を3等分して最初の3分の1以内に納品しなければならない日本独自の商慣習
【注3】取引する際に参照するための費用の参考値のこと。指定品目(米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆)のコスト指標が今月以降、民間団体(コスト指標作成団体)により作成・公表される見通し








