中東情勢の影響、現場にじわり 石油由来の資材品薄・値上がりつづく






混乱が続く中東情勢。アメリカとイランの間で停戦合意がなされたが、ナフサを含む石油由来の資材の価格高騰や供給の不安定化など農業現場では混乱が続いている。現状と今後の見通しについて、現場で活躍する経営者と流通事情に詳しい有識者に話を聞いた。
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混乱が続く中東情勢。アメリカとイランの間で停戦合意がなされたが、ナフサを含む石油由来の資材の価格高騰や供給の不安定化など農業現場では混乱が続いている。現状と今後の見通しについて、現場で活躍する経営者と流通事情に詳しい有識者に話を聞いた。
〈現場では国の支援求める声も〉
〇愛知 鍋八農産 「努力だけで補うのは困難」
水稲生産が主の愛知県の㈲鍋八農産の八木輝治代表取締役(55)は、「米袋やエンジンオイルなどは消耗品。ないものを努力だけで補うのは難しい」と語る。
4月中旬以降、米袋の追加の確保は困難を極め、現在の納品は未定。新米の出荷が始まる秋冬までにはモノクロのコメ袋でも確保できるよう交渉している。同じく出荷に使うフレコンバックも入手困難な状況だ。
農業用機械に使用するエンジンオイルや軽油も高止まりが続き、秋の収穫をひかえる水稲農家にとっては頭の痛い問題だ。八木代表は「今のところは価格が高騰しても何とか買えているが、長期化すると影響は大きい。コストが増えても価格転嫁は難しいのが実態。実需側も必要以上には確保せず、冷静な対応が必要」と話す。他にも農薬でもナフサ由来の容器が不足し、入手が難しい状況があるという。
〇兵庫 N.G.C. 「鳥インフル時期の影響懸念」
「ナフサ由来の容器や袋を使用する消毒液の値上げが始まっている」と話すのは兵庫県などでヒナをメインに卵も生産する㈱N.G.C.の鈴木康太郎代表取締役(53)だ。
養鶏でも、卵パックや鶏糞堆肥販売用の袋などが高騰している。懸念していた鶏舎の断熱材などは予定通り納品されたが、堆肥運搬用のフレコンバックなどは価格の高騰だけでなく入手困難になりつつあるという。
日頃の畜舎の消毒などで使用する畜産農家にとって、消毒液は必要不可欠。鈴木代表は「長期化すれば、鳥インフルエンザの時期となる冬季の散霧消毒にも影響が出かねない」と話す。海外産飼料や卵などの運送代、ヒナ育成にかかる燃料代も着実に増えており、飼料の国産化や卵のモールドパックなど代替品を確保できるようにすることも今後は重要と語った。
〇山形 やまがたさくらんぼファーム 「生産資材の不足が表面化」
「まだ入ってきてはいるが雨よけのビニールの価格が高騰している」と話すのは、山形県で観光農園を経営する㈱やまがたさくらんぼファームの矢萩美智取締役会長(50)。同社では毎年雨よけのビニールを新しいものに変えていたが、価格高騰を受けて2年に1度の交換に変更するなどで対策。繊細なモモを梱{{こん}}包{{ぽう}}するフルーツキャップは早くも不足すると取引先からは言われ、不安は尽きない。矢萩会長は、「観光農園は人が来ることが前提。生産資材の高騰もガソリン価格も心配。長期化した場合、旅行を推進する経済政策のような国の支援も期待したい」と話す。夏にはモモの直売がピークを迎える。商品の発送費は運送会社と例年以上に厳しい交渉が続くという。
〈国の見解は供給量に問題なし〉
国は「全体の供給量に問題はなく、年を越えての供給も可能」との見方だ。6月11日の中東情勢に関する関係閣僚会議でも、現場への供給安定化のため目詰まり解消について協議した。
農水省の調査=図=でも米袋や農業ハウス用ビニール、農薬などの供給は全体としては問題がないとしている。鈴木憲和農相は16日の記者会見でアメリカ-イランの停戦合意を受けて「資材などの価格や供給への影響は引き続き状況を注視する」とし、資材の安定供給の確保に全力を挙げる構えだ。
〈製品化滞り流通量不足が実態〉
ナフサ由来の製品の供給の不安定化が起きている原因として、中東情勢の緊迫化に伴いナフサを原料とするエチレンの国内減産が急速に進んでおり、末端のプラスチック成形・加工プロセスに供給遅延をもたらしていると分析している。
弊社が実施した実態調査では、約9割の農家が「4月以降に資材価格や入手方法に変化を感じた」と回答し、約6割が「欠品・納品遅延を実感している」と回答。サプライチェーンの途中で製品化が滞り、現場への流通量が不足しているのが実態と考える。
代替として紙製緩衝材への置き換えなどは有効であり、業界全体で検討・推進すべき対策の一つ。しかし、ボードン袋などの特殊な機能性プラスチック製品は、現状、紙などでの代替が極めて困難だ。
国際情勢が落ち着き、ナフサの供給状況が一日も早く良くなることを期待したいが、農業現場に資材がいき渡るには一定の時間がかかることも予想され、注意深く見守る必要がある(㈱農業総合研究所 西日本営業本部 産地部 生産者支援課主任 尾崎悠仁氏)








