特定外来生物の生態と防除対策④ (一財)自然環境研究センター港 隆一

2026年07月24日
     
キョンのオス個体。関東地方で分布拡大が懸念されている(東京都環境局提供)
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 2024年5月、茨城県において、ある動物の目撃情報提供および捕獲に関する褒賞金制度が創設された。その動物とは、特定外来生物のキョンである。


 キョンは中国東南部や台湾を原産とするシカ科の動物で、見た目はシカに似ているが、体の大きさは中型犬ほ

 2024年5月、茨城県において、ある動物の目撃情報提供および捕獲に関する褒賞金制度が創設された。その動物とは、特定外来生物のキョンである。


 キョンは中国東南部や台湾を原産とするシカ科の動物で、見た目はシカに似ているが、体の大きさは中型犬ほどと小型だ。オスには約10㌢の短い角が生えており、これにより雌雄の判別は比較的容易である。草食性で木の葉や果実を好み、通常は単独で行動し、明け方や夕暮れ時に活発になることが知られている。


 国内では、伊豆大島と千葉県で生息が確認されており、これらの地域では、飼育施設から逃げ出した個体が野生化し、定着したと考えられている。近年、千葉県に隣接する茨城県でも目撃情報が増加しており、分布拡大が懸念されることから今回の褒賞金制度が導入された。


 伊豆大島や千葉県では、キョンによる農作物被害が確認されている。被害は水稲、豆類、いも類、野菜類、果樹など幅広い作物に及んでいる。また、鳴き声に関する苦情や園芸植物への食害など、生活環境被害も報告されている。

 現在、東京都と千葉県ではキョンの完全排除をめざした防除対策が進められている。主な捕獲方法として、銃器、くくりわな、箱わな、張り網などが使用されている。捕獲数は年々増加しており、24年度には伊豆大島で約6千頭、千葉県で約1万頭が捕獲された。完全排除を達成するには、さらに捕獲圧を高める必要があるが、効率的な捕獲方法が確立されていないことやコストの増加などの問題があり、簡単には解決できないのが現状だ。


 このように、一度定着して分布が広がると完全に排除することが困難になるため、侵入初期の段階で定着を防ぐことが重要になる。定着地域周辺の地域においては、農業者や一般市民が目撃情報や生息状況に関する情報を速やかに行政へ提供するなど、地域全体で侵入防止に取り組むことが求められる。

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