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クビアカツヤカミキリ 産地に深刻な影 埼玉・越生町

2026年10月23日
     
防除戦略を策定した政府の対策本部(9月11日)
食痕が残る枝の断面を指さす横田さん
クビアカツヤカミキリの成虫(写真提供=埼玉県環境科学国際センター)
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 サクラやウメ、モモ、スモモなどを加害するクビアカツヤカミキリ(ことば参照)が産地に深刻な影を落としている。関東三大梅林で知られる埼玉県越生町を取材した(2面に関連記事)。


園地の半数に被害、出荷量減少 ペットボトル罠が効果あり


 「これが幼虫

 サクラやウメ、モモ、スモモなどを加害するクビアカツヤカミキリ(ことば参照)が産地に深刻な影を落としている。関東三大梅林で知られる埼玉県越生町を取材した(2面に関連記事)。


園地の半数に被害、出荷量減少 ペットボトル罠が効果あり


 「これが幼虫に食害された跡です」――。JAいるま野越生支店梅部会長の横田邦夫さん(77)が指さした先には、直径2~3㌢ほどの孔(あな)がぽっかり空いている。枝には被害木であることを示す白いプレートが下げられ、根元には羽化した成虫の拡散を防ぐための青いネットが巻かれている。周囲を見渡すと同様の木が点在しており、被害の広がりを物語る。横田さんの園地にはおよそ70~80本の木が植栽されているが、被害木は半数近くの40本ほどに至った。約1・2㌧ほどあったJAへの出荷量は今年、約1㌧に減少。直売所に出荷している梅干しも一部、受注できなくなるなど影響が出ている。5~6年前は天候不順による不作があり、今度は害虫被害。「ここ数年は踏んだり蹴ったり」とやりきれない思いをにじませる。


 主な対策は薬剤散布や幼虫の掘り取り、ネット巻きなどだが、通常の農作業に加えてこうした作業を、特に夏場の酷暑の中で行うことはかなりの労力的な負担となっている。


 苦しい状況の中、横田さんが今年取り入れたのがペットボトルを使ったトラップだ。上部に進入口となる切り込みを入れ、中に注いだ酒、酢、砂糖を混ぜた液体でクビアカツヤカミキリを誘引する。スズメバチの捕獲方法からヒントを得た。このトラップは効果があり、多い日で1トラップ約20匹、今シーズンの合計は15ほどのトラップで約280匹になった。


 これなら事前にトラップを準備して、朝置いておけばいいだけなので取り組みやすい。横田さんは「仲間の部会員だけでなく、多くの皆さんに取り組んでもらえれば」と期待を寄せる。来年はさらに設置数を増やしたいと、早くもペットボトル集めと進入口の切り込み作業を始めている。


部会員のウメ1割で被害発生 捕殺奨励制度など町が対策に本腰


 「今年度、町としてやれることはやりきる」と本格的な対策に乗り出した越生町。その一つが5月にスタートした「クビアカ捕殺奨励制度」だ。捕殺した成虫1匹がスタンプ1個分になり、10個ためると500円分の越生スタンプ会商品券と交換できる。上限は1人最大100匹、5千円分まで。8月末日時点の実績は、参加者数が75人、持ち込まれた成虫の数が1731匹になった。


 この制度は新井康之町長の熱心な呼びかけで川島町でも実施されるなど、近隣市町村の先駆け的な取り組みになっている。


 越生町はそのほか、ウメ畑を対象に▽防除薬剤の無償交付▽町が民間事業者に

委託して実施する7~8月の薬剤散布▽被害木の伐採・処分費用の一部補助(ウメを新植・改植する場合は補助率優遇)――といった支援策を次々と展開している。


 今年3月末時点のウメ畑の被害状況は、梅部会員77人が所有する5159本中512本におよんでおり、町では再度、最新の被害状況を確認している。「越生のウメと農家さんを守りたい、そういう気持ちで取り組んでいる」と話す同町産業観光課主査の小沢隆広さん。町では来年度に向け、さらに対策を強化する構えだ。


国も戦略策定し被害縮小めざす


 クビアカツヤカミキリは、2012年の初確認から14年強で22都府県に分布が拡大(8月現在)。発生市町村数は毎年1・3倍のペースで増え続けている。


 危機的な状況の中、政府の対策本部は9月11日に防除戦略を策定。被害状況に応じた対策を進める方針を示し、短期的には被害拡大の抑制、長期的には30年を目途(めど)に被害地域の縮小への道筋をつける目標を掲げた。


<ことば>

クビアカツヤカミキリ=東アジア原産の特定外来生物。幼虫がバラ科樹木の幹の中を食い荒らし、放っておくと木を枯らしてしまう。メスの成虫は1個体当たり多い場合は1千個近くの卵を産むなど極めて繁殖力が強い。

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