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労災保険 全経営体に加入義務化 農業の常時雇用5人未満も

2026年07月10日
     
機関紙「JAはだの」を配る同JA職員(写真はすべて宮永さん提供)
宮永さん
標語の入賞作品はカレンダーに掲載し、事故の未然防止を呼びかけている(写真はすべて宮永さん提供)
空調服を着て作業をする組合員
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 2031年度から、従業員を雇用するすべての農業経営体に労災保険への加入が義務付けられる見通しだ。就業者10万人当たりの死亡事故者数が、24年に全産業平均の約13倍となった農業。「やっと他産業と同等」と制度改正を歓迎する声が多い一方で、この

 2031年度から、従業員を雇用するすべての農業経営体に労災保険への加入が義務付けられる見通しだ。就業者10万人当たりの死亡事故者数が、24年に全産業平均の約13倍となった農業。「やっと他産業と同等」と制度改正を歓迎する声が多い一方で、この5年間でどう現場に周知し、早期加入を促していくかが課題だ。長年にわたり労災保険の加入を推進してきたJAはだの(神奈川県秦野市)の取り組みから、今できることを考える。


 「農業従事者の高齢化が進み、熱中症のリスクも高まっている今こそ、農家には労災保険に加入してもらいたい」――。同JA代表理事組合長の宮永均さん(68)はそう話す。農作業事故で大切な仲間を失った経験は、今も心に重くのしかかる。農業のリスクを肌で感じてきたからこそ、宮永さんは労災保険の加入を強く推進してきた。


 同JAでは毎年2、3月の2カ月間、支所ごとに加入目標人数を定めて加入推進活動を展開している。特に力を入れているのが、職員による農家への戸別訪問。金融、共済などさまざまな事業を手がけるJAだが、この期間は部署の垣根を超え、職員一丸となって加入推進に取り組む。宮永さんは「どんなにいい制度があっても認知されなければ意味がない。そこを伝えていくのがわれわれの役割」と話す。


 毎月発行する機関紙「JAはだの」も有効活用している。組合員の加入意識が高まるよう、定期的に事故防止の啓発や労災保険の重要性を訴える記事を掲載。機関紙はすべての組合員に対して職員の手で配っており、その都度加入を呼びかけることも欠かさない。


 こうした取り組みが功を奏し、組合員の労災保険加入率は他のJAと比べて高い。約2500人いる正組合員のほとんどは、加入が任意となっている常時雇用5人未満の個人経営体だが、24年の加入率は36.4%に達した。それでも宮永さんは「まだまだ物足りない数字。加入推進は事故の未然防止にもつながるので、さらに取り組みを充実させたい」と話す。


事故未然防止にも力

 備え(労災保険)とともに大事なのが、いかに事故を起こさせないか。この点でも同JAはさまざまなことに取り組んできた。1979年から約50年にわたり毎年行っているのが、農作業安全に関する標語の募集。優秀な作品は表彰し、ポスターやカレンダーに掲載することで事故の未然防止を呼びかけている。


 農薬保管管理コンクールも毎年開催する恒例行事だ。県農業技術センターの職員らが応募者宅を巡回し、農薬の取り扱いなどを審査するもの。宮永さんは「標語の募集も含めて、応募してもらうことが事故防止の意識醸成につながっている」と手応えを口にする。


 深刻化する熱中症被害を減らそうと、2022年度には冷却ファンの付いた空調服の購入助成も始めた。組合員とその家族が対象で、上限は3万円。毎年70~80件の活用実績をあげている。


 組織をあげてこうした活動を続けてこられたのは、基盤となる体制が整備できているからだ。特に労災保険の加入推進では、市、農業委員会と3者で作る「はだの都市農業支援センター」が加入の事務手続きを支援するなど、重要な役割を担っている。


 「今回の制度改正は、農作業中の事故を未然に防止する絶好の機会」と話す宮永さん。「制度の意義や加入方法などを丁寧に説明していくためには、国や都道府県、農業団体、社会保険労務士などのサポートが不可欠。そうした関係機関が一体となって加入推進できる体制を早期に作ってもらいたい」と期待を込める。

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