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人と野生鳥獣の共生を ―中山間地域の再興が必要―② 元鹿児島大学教授・宮部芳照氏

2026年05月15日

○被害減少は放棄地解消が必須 

 政府は鳥獣被害防止総合対策交付金(農水省・2008年制定)、指定管理鳥獣対策事業交付金(環境省・15年制定)など、時宜に応じて改正しながら各地の鳥獣捕獲や侵入防止対策を支援してきた。また、都道府県でも特定鳥獣

○被害減少は放棄地解消が必須 

 政府は鳥獣被害防止総合対策交付金(農水省・2008年制定)、指定管理鳥獣対策事業交付金(環境省・15年制定)など、時宜に応じて改正しながら各地の鳥獣捕獲や侵入防止対策を支援してきた。また、都道府県でも特定鳥獣保護管理計画や被害防止計画の策定、捕獲奨励金の交付など、さまざまな対策を講じている。しかし、いまだに野生鳥獣被害の拡大は止まらない。

 近年、野生鳥獣被害の一因である耕作放棄地の面積は減少に転じているものの、地域差が大きく、一部地域では依然として増加傾向にある。15年の耕作放棄地は約42.3万㌶に達し、20年には荒廃農地として約28.1万㌶に減少したが、24年の農家申告に基づく耕作放棄地は約42万㌶存在する。野生鳥獣被害を減少するためには耕作放棄地の解消は必須であるが、高齢化・後継者不足などと相まって困難かつ深刻である。

 ここで、耕作放棄地の解消事例を2、3紹介する。例えば、鹿児島県O郡S町では地域ぐるみの共同作業により伐採作業を行い、耕作可能な状態まで保全管理してサトウキビやタンカンの栽培や一部では野菜類を栽培して地域資源交流所で販売している。また、K市では地域ぐるみの共同作業で景観作物(コスモス)の栽植や集落イベント広場として有効利用するほか、ソバ栽培には子どもたちも参加して種まきやそば打ち体験など実施している。

 企業の参入事例として、N市(建設業)は、借り上げた放棄地を建設機械で整地して焼酎用・青果用サツマイモや早掘りバレイショを栽培し、自社加工販売や菓子メーカーと契約栽培している。また、A市(食品関連業)では、借り受けた放棄地を造成してでん粉用サツマイモとバレイショを栽培し、でん粉の自社生産とバレイショは青果用としても市場出荷するほか、コロッケ材料としても有効利用している。

 以上の事例でも分かるように、耕作放棄地の解消には、集落ぐるみ・地域ぐるみの共同作業による農地復元と適正な保全管理、さらには個人あるいは集落による営農のみならず企業の農業参入促進が必要であろう。加えて、耕作放棄地解消関連補助事業の財政支援の強化と活用は不可欠である。

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