「食業人」の育成、温暖化対策学ぶ 全国稲経が三重で現地研究会
全国稲作経営者会議(井田磯和会長、事務局=全国農業会議所)は7月1、2両日、三重県四日市市で第50回全国稲作経営者現地研究会を開いた。会員を中心に関係団体、企業ら450人が参加した。会では、今後の稲作経営について会員の意見をまとめた政策提
全国稲作経営者会議(井田磯和会長、事務局=全国農業会議所)は7月1、2両日、三重県四日市市で第50回全国稲作経営者現地研究会を開いた。会員を中心に関係団体、企業ら450人が参加した。会では、今後の稲作経営について会員の意見をまとめた政策提言を発表、来賓の山下雄平農水副大臣に手渡した=写真左。専門家などによる研修も行われ、会員は真剣なまなざしで話に聞き入った。
未来を担う「食業人」を,、伝えるのは「プロ意識」
研究会初日は、三重県立相可高等学校(多気町)の食物調理科の西岡宏起教諭が、「『未来を担う食業人』~高校生レストラン本日も満席!~」をテーマに講演。西岡教諭は自身も同校の卒業生で、「小学生のころに祖母と作った米や野菜で料理を作り、家族に喜んでもらった経験が料理人をめざすきっかけ」と語る。
生徒を育てる際に意識するのは「プロ意識」を持たせること。同校調理クラブの高校生レストラン「まごの店」は2002年にオープンし、食材の仕入れ、調理、接客、メニュー開発まですべて高校生が運営する。西岡教諭も当時、恩師の村林新吾氏から「手を抜いたらあかん」と指導を受けた。育てる側となった現在も、教え子たちには「お金をいただく以上はプロと同じ」と指導。技術だけでなく心を磨く「食業人」の育成に日々奮闘している。
また、これからの料理人は料理を作れるだけでは生き残れないと指摘。食文化や生産者の想いを料理に込められるか、消費者の反応を生産者に届けられるかが重要と述べた。食材への想いを学ぶには、生産者とのつながりが必要不可欠という。生徒たちも毎年田植えや稲刈りを体験。生産者の想いを学び、食材への愛情を深めている。
西岡教諭は、未来を担う食業人は、①おいしいの本物を追い求められる人②食を通して社会に貢献する人③人と人とがつながれる人④持続可能な食文化と地域資源を考えられる人⑤人の心を育てられる人――の五つが必要と述べた。
そして「人とのつながりを大切にしておいしいお米を作ってほしい。そして消費者としても料理を食べに来てほしい」と呼びかけた。
「土効」の重要性を確認 、温暖化時代に地力把握を
2日目は、三重大学大学院生物資源研究科の関谷信人教授が「その肥料、本当に効いている?~あらためて施肥について考える~」をテーマに講演。
関谷教授は「挑戦的なタイトル。施肥の効果は皆さん実感していると思うが、実感ほど効いているのか」と問題提起。水稲栽培における地力の重要性に触れつつ、自ら名付けた「土効=土に含まれる肥料としての効果」という言葉を使い、地力を活かすための圃場の環境把握の必要性や土効は地形や圃場によって異なること、土効の実態は土壌有機物で土壌微生物の働きによりできることなどを自身のさまざまな研究データを用いて解説した。
「地球温暖化によって肥効も土効も消耗する」と指摘。急激な気候変動の起きる現代の営農においては、土づくりが極めて重要であると述べた。
関谷教授は、県内の標高に差のある高原部と平野部の21地点においてコシヒカリの生育状況を調査。平野部のほうが高原部よりも温暖化により土壌の温度が上昇、土壌微生物が大幅に活性化し、土壌有機物を消耗しており、土効が低下しているという。21地点のうち7地点で玄米収量、整粒歩合、玄米体積、千粒重を精査したところ、標高が下がるほど成績が下がっているという結果が出た=グラフ。
関谷教授は実例に触れながら、標高による温度変化は、数年から数十年で起きたことであり、冷水をかける程度では土効そのものの解決は難しいとの見解を示しつつも、「深水管理かつかけ流しによって地温を下げることは可能」と述べ、温暖化の進む中で土効を維持するには、有機物の投入がますます重要になるとの見方を示した。













