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運転免許を持たない従業員が事故を起こしてけがを負った

2026年10月16日

 今月は、使用者の労働者に対する安全配慮義務および使用者の第三者に対する使用者責任についてご説明します。


 農場内で、使用者が、運転免許を持たない従業員に業務に関して車を運転させ、この従業員が事故を起こしけがを負ったケースを考えます。


 判例は

 今月は、使用者の労働者に対する安全配慮義務および使用者の第三者に対する使用者責任についてご説明します。


 農場内で、使用者が、運転免許を持たない従業員に業務に関して車を運転させ、この従業員が事故を起こしけがを負ったケースを考えます。


 判例は、使用者は、従業員との労働契約上の信義則に基づき、労働者の生命や健康を危険から保護するように配慮すべき義務(安全配慮義務)を負うとし、使用者がこの義務に違反した場合の労働者に対する債務不履行責任を認めてきました。2007年に制定された労働契約法は、第5条において、安全配慮義務を明文化しています。


 安全配慮義務の具体的な内容は、使用者が、事業の遂行に使用する施設や設備および組織の管理を十分に行う義務と考えられています。車の運転に関しては、運転者として十分な技能を持つ従業員を選任する義務および車の運転に特に必要となる安全上の注意を与える義務が安全配慮義務に含まれます。


 農場内で車の運転をするためには運転免許を要しない場合もあり得ますが、その場合であっても、運転免許を有せず車の運転について十分な技能を持っていない者を運転者に選任したことや、十分に安全教育をしなかったことなどについて、使用者は責任を問われ、損害賠償責任を負うことになるでしょう(なお、労災保険給付で補償された損害については、使用者はその限りで責任を免れます)。


 次に、業務に関し車を運転する従業員が事故を起こし、第三者にけがをさせた場合に、使用者は責任を負うでしょうか。

 

 民法は、使用者に対し、従業員などが業務に関して第三者に加えた損害を賠償する責任を課しています(使用者責任)。通説的考え方によれば、他人を使用することにより利益を得る者は、事業に関して他人に与えた損害を賠償すべきだからです。使用者が責任を負うのは、事業のために他人を使用し、その従業員などが職務の執行について第三者(職場の同僚も含まれます)に損害を発生させた場合です。


 次回は、建設工事契約の解除に関する問題を説明します。


◇次回は11月20日付

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