地域ぐるみで取り組む鳥獣害対策④ 「イノP」取締役・楠田弘毅氏
これまでに、侵入防止柵の正しい設置(守る)と、餌付けやひそみ場をなくす環境づくり(寄せ付けない)の重要性を解説した。これらに「捕獲」を加えた三つの要素が組み合わさって、鳥獣害対策は初めて十分な効果を発揮する。
そして、これらの対策は「地域
これまでに、侵入防止柵の正しい設置(守る)と、餌付けやひそみ場をなくす環境づくり(寄せ付けない)の重要性を解説した。これらに「捕獲」を加えた三つの要素が組み合わさって、鳥獣害対策は初めて十分な効果を発揮する。
そして、これらの対策は「地域ぐるみ」で行うことが推奨されている。なぜだろうか。
端的に言えば、個人の「点」の対策では獣に太刀打ちできないからだ。収穫残渣の処理や藪の刈り払い、防護柵の設置・維持管理などには、集落全体の協力体制が不可欠である。誰かが孤軍奮闘しても、集落に一つでも「穴」があれば、獣は必ずそこを突いてくる。また、担い手の高齢化が進む捕獲活動においても、見回りなどを皆で分担し、負担を軽減する体制が求められる。
では、どのように「地域ぐるみの対策」を始めればよいのだろうか。
まずは「勉強」から始めることが肝要だ。全員が正しい知識を共有することで、対策の「穴」をなくすことができる。さらに「勉強」の最大の効果は、住民の「自分たちもやってみよう」というやる気を引き出すことにある。私たちが過去に行った研修後のアンケートでも、9割を超える人が「自分の地域で取り組みたいことがある」と回答している。
このやる気の火を灯し、地域全体へ広げるうえで効果的だったのが「2段階の研修」だ。第1段階として、自治区長などの「リーダー向け研修」を実施し、実践意欲のあるリーダーを募る。そして第2段階で、そのリーダーのいる集落へ出向き「農家・住民向け研修」を行う。この手順を踏んだ地域では、対策が継続され、確実に効果を上げ始めている。
リーダーが「人任せにせず、自分たちが対処すべき問題だ」と認識し、その熱意を集落全体へ波及させていくプロセスこそが、地域の本気度を高める鍵となる。鳥獣害対策は、まずは「勉強」から。一見遠回りに思えるかもしれないが、実はそれが一番の近道なのである。









