観光客のマナー違反 法律上の取り扱いは
今月もオーバーツーリズムに関して、一部の観光客のマナー違反の法律上の取り扱いについてご説明します。
最初の事例は、観光地に近い場所で営農をしていたところ、付近に公共トイレが設置されていないため、作業場のトイレを頻繁に無断で使われて困ってい
今月もオーバーツーリズムに関して、一部の観光客のマナー違反の法律上の取り扱いについてご説明します。
最初の事例は、観光地に近い場所で営農をしていたところ、付近に公共トイレが設置されていないため、作業場のトイレを頻繁に無断で使われて困っているというケースです。作業場の所有者は、「無断立入禁止 違反者には1万円の罰金を請求します」と書いた看板を設置しています。
私有の建物に勝手に入って、無断でトイレを使用する行為は、まず、刑法の建造物侵入罪に該当する可能性があります。同罪は、正当な理由なく、他人の建造物などに侵入した場合に成立する罪で、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処せられます。このケースでは、「立入禁止」の看板が設置されており、所有者の意思に反した立ち入り(侵入)に当たると考えられます。
次に、トイレの無断使用により、所有者が、水道代やトイレットペーパーなどの備品代、清掃費用を負担するなどの損害を被った場合には、民事上の責任として、所有者は、無断使用者に対して損害賠償を請求することができると考えられます。それでは所有者は、看板で警告したとおり、無断使用者に対して、1万円を請求することができるでしょうか。この看板の表示は、法的には刑事罰としての罰金ではなく、所有者が立ち入りを禁止し、違反者には1万円の損害賠償を請求する意思を表示するものと理解できます。したがって当然に1万円を支払わせられるかは疑問です。
次の事例は、私有の建物の外壁などに落書きがされたケースです。
建物への落書きは、刑法の建造物等損壊罪に該当し、5年以下の拘禁刑に処される可能性があります。同罪は、物理的損壊だけでなく、外観や美観を著しく汚損し、原状の回復に相当の困難を生じさせるような落書きを処罰する趣旨と理解されています。また、民事上の責任として、外壁の清掃や交換費用などの損害賠償請求が可能です。
次回は、農地に係る賃貸借契約をとりあげます。
◇次回は9月18日付








