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経営・流通

多様な働き方取り入れ人材育成 広告代理業の経験活かし 水戸市・ドロップファーム

2026年05月22日
     
代表の三浦綾佳さん
直売所の社員と綾佳さん
加工場も兼ねた直売所
ハウスは寒暖差のある高台の地にある
併設した自動販売機
美容トマトの詰まったハートBOX
果汁100%の「美容トマトジュース」(写真の一部はドロップ提供)
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 茨城県水戸市の㈱ドロップの三浦(あや)()代表取締役(37)は、経営するドロップファームでフルーツトマトを「美容トマト」として生産。ブランド化して販売、加工し、カフェを兼ねた直売所も運営する。通年で価値を生み出す商品づくりは、多様な

 茨城県水戸市の㈱ドロップの三浦(あや)()代表取締役(37)は、経営するドロップファームでフルーツトマトを「美容トマト」として生産。ブランド化して販売、加工し、カフェを兼ねた直売所も運営する。通年で価値を生み出す商品づくりは、多様な働き方を取り入れた独自の人材育成にマッチしている。


 「美容」キーワードにトマトブランド化

 綾佳さんは広島市の出身。夫と都内で広告代理店を営んでいたが、農業に参入した。

 綾佳さんは「出産を機に子育てをしながら働ける職場をつくりたい」「広告代理業のスキルを活かし、楽しんでビジネスがしたい」と25歳の時、夫の親戚がいる水戸市に家族で移住した。農業未経験からの挑戦で、引退を検討していた親戚の農地を借りた。2015年、ドロップファームを開設する。

 収益性が見込め、経営が成り立つ作物として選んだのは、糖度10度以上のフルーツトマト。主に小鈴、フルティカ、アイコ、イエローアイコなど4品種を作付けることにした。甘くて栄養価が高いという付加価値を前面に打ち出し、ドロップファームの美容トマト(登録商標)としてブランディング。「美容」は誰もが心に響き、深い共感を与えるものという。

 培ってきたプロデュース力と販売力を活かして売り出した。栽培面積25㌃(ハウス1棟)から始め、現在は1㌶(同4棟)と4倍に広がった。パートを含めた社員32人を雇い、トマト4万本を管理。年間68㌧生産して百貨店やスーパー、自社ネットショップで直売、年商1億3300万円を実現する。


生産環境や糖度など品質管理を重視 

 最も重視するのは品質管理だ。

 水耕でも土耕でもない。ナノサイズの穴が空いた農業用特殊フィルムを土に代替した栽培技術「アイメック農法」で生産する。土づくりが要らず、管理が容易で技術習得にかかる期間が短く済むという。止水シートで水と肥料の漏出を防止できるため、少ない水と肥料で栽培でき、環境にも優しい。できたトマトはGABAやβカロテン、リコピンの含有率が高いという。

 21年には、カフェを併設した直売所と加工場を備えた。光糖度センサーを導入し、糖度を保証することでブランド力を強化した。加工場では規格外品でジュースを製造するほか、他の農場からも受託し加工品を製造する。

 ここには24時間トマトが購入できる自動販売機も設置するなど、販売方法も多様化している。

 また、看板商品としてハート形の箱に色とりどりの美容トマトが700㌘詰まったギフト用BOXや、美容トマト3品種をブレンドした無添加・無塩の100%ジュース(720㍉㍑、180㍉㍑)も用意。ターゲットとなる顧客層を決めてから商品をつくりパッケージデザインを設計するなどのマーケットインの手法を活用する。


働く仲間の交流大切にし成長へ 

 就農4年目で初めて黒字化したのを機に労働環境にも着目した。

 一緒に働く仲間が主役になれる職場をめざしてJGAP(農業生産工程管理)認証を取得。人材育成で重要な役割を果たすのが、創業時からの「農場管理作業マニュアル」だ。

 栽培管理、商品づくりの方法をまとめたもので、全員に伝えてきた。「早く戦力になってほしい。社員の意見を反映しながら、ブラッシュアップしてきた」と綾佳さん。社員それぞれの能力や知識、経験を資本として捉え、そこに積極的に投資する「人的資本経営」を実践する。

 力を発揮できるようにチーム制を取り入れている。セクションごとに社員1人をチーフにし、パートを平均2人組み合わせる。パートの家族構成も把握して、20~50代がそろった多様な属性でチームを編成した。子育て中の母親は休みをとる機会が多いが、気兼ねなく休めて穴埋めができる仕組みをめざしている。チームが機能するなら労働時間も自由にしており、働き方に柔軟性を持たせられた。

 また、人材を確保・定着させやすい構造をつくるため、チームごとに生産目標を立て達成度を公表する。フレックスタイム制の導入や夏期休暇の取得によって、プライベートの時間を充実させる。社員とパートは、交換日誌で綿密にやりとりして労働時間を融通し合っている。

 綾佳さんはあえてアナログな方法でスタッフ全員の給与明細を作成。そこに感謝と評価を伝えるコメントを書き、代表として考えていることをLINEで発信するなどコミュニケーションをとっている。「同じ目標に向かって、一緒に会社を成長させるマインドづくりも人材育成。最終目標は、社員だけで会社を自走させるレベルに到達させたい」と熱い情熱と志を持つ。

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