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地域ぐるみで取り組む鳥獣害対策①  「イノP」取締役・楠田弘毅氏 

2026年09月18日
     
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 熊本県宇城市で鳥獣害対策を専門に取り組む㈱イノPの楠田弘毅取締役に地域ぐるみでの対策の重要性について解説してもらう。 (全6回)


 「高価な防護柵を張ったのに、またイノシシに入られた」「結局、何をしても無駄なのか」――。農家の皆さんのそんな

 熊本県宇城市で鳥獣害対策を専門に取り組む㈱イノPの楠田弘毅取締役に地域ぐるみでの対策の重要性について解説してもらう。 (全6回)


 「高価な防護柵を張ったのに、またイノシシに入られた」「結局、何をしても無駄なのか」――。農家の皆さんのそんな悲痛な声をよく耳にする。


 財務省が公表した調査データでは、侵入防止柵を設置したにもかかわらず被害が発生した農地の約8割で、何らかの設置不備が見つかったと指摘されている。現場を歩くと確かに「惜しい間違い」を多く目にする。例えば、ワイヤーメッシュ柵の表裏の逆付け。「横線」を田畑側(内側)にするのが正解で、これはイノシシが横線をくわえて引っ張り、破壊するのを防ぐためである。納品時には表裏が互い違いになっていることが多く間違えやすいので注意が必要だ。


 電気柵の電線が高すぎて下をくぐられる例も多く見られる。イノシシにショックを与えるには、鼻先に当たる地際から20㌢、40㌢の高さに張り渡す必要がある=写真。草刈り頻度を減らすために電線を高くしたくなる気持ちは十分に分かるが、この高さが鉄則だ。


 こうした不備が生まれる背景には、「柵さえ張れば大丈夫」という誤解がある。柵を張るうえで大事な心構えは「諦めさせること」だ。イノシシをはじめとする野生鳥獣は学習能力が高い。一度でも「柵があってもおいしい作物が食べられた」と成功体験を与えると、「柵は突破できるもの」と認識し、執念深く突破を試みるようになってしまう。こうなれば柵だけで防ぎ切ることは困難だ。


 だからこそ、集落全員が正しい設置・管理方法を知り、獣に隙を与えない環境を作ることが不可欠だ。柵を張る前にしっかり学習し、草刈りなどの維持管理も含めて集落に適した資材を選ぶことが重要となる。


 弊社イノPでは、航空会社のソラシドエアと協働で再生した栗畑で、実物の柵を比較・体験できる展示圃場を整備し、研修を行っている。せっかくお金と労力をかけて張る柵。効果を最大限に発揮させるため、まずは「張る前の学習」から始めよう。

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