ビール好きからホップで地域振興 長野・茅野市 縄文麦酒




「生まれ育った八ヶ岳泉野の景観を守りたい」――。そう笑顔で語るのは長野県茅野市泉野地区にある縄文麦酒㈱の立木壮樹代表(38)。立木代表は、自身のクラフトビール好きから、付加価値をつけて販売できるホップ栽培に取り組んでいる。耕作放棄地の解消
「生まれ育った八ヶ岳泉野の景観を守りたい」――。そう笑顔で語るのは長野県茅野市泉野地区にある縄文麦酒㈱の立木壮樹代表(38)。立木代表は、自身のクラフトビール好きから、付加価値をつけて販売できるホップ栽培に取り組んでいる。耕作放棄地の解消にも貢献する。
ホップ栽培は冷涼で乾燥した気候が求められる。現在の国内主産地は東北地方だが、八ヶ岳山麓の泉野地区の気候もまさにそれに合致する。1930年代には全国に先駆けて大手ビール会社がホップ栽培を始め、「ホップ栽培発祥の地」といわれている。
立木代表は2023年に就農。実家が兼業農家だが前職は電機メーカー、大学の専攻も文系だった。
しかし、子どもの小学校入学を機に地元に帰郷。自分の好きなことで地域振興や農業に携われないかと考え、根っからのビール党であることから材料づくりに挑戦することにした。
当初、テスト圃場で世界各地40品種のホップを栽培。何が同地域の気候に合うか試した上で13品種を選び、25年から本格的に栽培を始めた。
生産したホップを外部のビール会社に委託し、独自ブランドのクラフトビールを醸造する。四季に合わせて「五感で感じるビール」を各種4種類販売している。現在はビールを年間3千㍑造っており、今後は、ホップもビールも生産を増やす計画だ。
泉野地区でも農業者の高齢化や担い手不足が進み、耕作放棄地に頭を悩ませている。
立木代表は23年、耕作放棄地の「開墾」も経験した。自社で栽培する品種選定を終え、ホップ生産の規模を拡大しようと空いている圃場を探していた際、知人が耕作放棄地はどうか持ちかけたのがきっかけだった。立木代表は「耕作放棄地からホップを作り、商品にできたらいい物語にもなり地域農業・景観も守れる」と前向きに。開墾後は緑肥栽培から始め、最終的にはその土地から連続する合計約40㌃の耕作放棄地を3人の地主から借り受け、農地に戻した。
また、立木代表が中心となり、今年から地域の農家や非農家、移住者などの参加者を募って、酒米生産を始めた。〝泉野の野を良くする会〟を略して「野良会」と名付け、活動をスタート。放棄地を農地に戻し、酒米を栽培して近隣酒蔵メーカーに販売、日本酒を造る。
農業経験は不問で、経験のないメンバーもいる。自分たちが楽しむことを重視し、造った日本酒で参加者も楽しめる計画だ。
立木代表は「〝ずくのある〟(この地域の方言で〝やる気のある〟の意味)人を集めることで、美しい八ヶ岳の景観と地域農業、コミュニティーを守りたい」と語る。今後も放棄地の解消と地域振興を目的に取り組みを拡大する予定だ。








