肥飼料・資機材・燃料の値上げと農業経営 明治大学名誉教授・青山佾
東京都農業会議が東京都農業施策について意見書を決議した時点では中東での戦争は始まっていなかったが、意見書の1の⑴は肥料・飼料・資機材・燃料の価格高騰に対する支援策の強化だった。
その後に中東戦争が始まり、農家は、資機材について6月からの2
東京都農業会議が東京都農業施策について意見書を決議した時点では中東での戦争は始まっていなかったが、意見書の1の⑴は肥料・飼料・資機材・燃料の価格高騰に対する支援策の強化だった。
その後に中東戦争が始まり、農家は、資機材について6月からの25%値上げや15%値上げを通告されている。しかもその価格でも実際に納入できるかどうかわからないという条件付きだという話も出ている。
農家が出荷する野菜や果物に価格転嫁できるならいいが、卸売市場における価格形成機能はセリという別の要素で決まり農産物の価格はなかなか上昇しない。卸売市場の価格が上がらなければ各種直販や学校給食用の価格も上がらない。
近年の大都市部の農業経営でもそれなりに若い農業者の新規就農があって、イチゴやトマト、シイタケなどを高設・養液などで栽培を始める例がいくつもある。アスパラガスなども施設でつくって軌道に乗せている。全国でも農水省の農林業センサスによると、2025年の基幹的農業従事者の平均年齢は67・6歳と、20年にくらべわずか0・2歳だが若くなっている。
せっかく若い人たちが思い切った投資をしてリスクを背負って開業しても予期せぬ海外の紛争によって経営計算が狂う状況を見ていると、国や都道府県の農業支援策によってなんとかならないものかと切実に思う。
肥料価格についてJA全農は肥料の最大14・5%値上げを発表した。ほぼ全量を輸入に頼る日本の肥料をめぐる状況を改善し、畜産振興や生ごみリサイクルなどにより国内産肥料を増やす根本対策を講じない限り日本農業の採算性は計算できない。
上記意見書の1の⑵は猛暑対策として安全な営農環境が確保されるよう施設整備などの支援を拡充することである。
ハウスは冬の寒さから作物を守るだけでなく夏には大きな送風機を回したり遮光遮熱のためのネットを張るようになった。スポットクーラーや空冷服の購入補助を始めた自治体もある。気候変動も農業に大きな影響を与えている。日本人は農業の持続可能性に強い危機感を持つべきだ。
◇次回は6月26日付








