地域ぐるみで取り組む鳥獣害対策② 「イノP」取締役・楠田弘毅氏
「ウソだろ…。追い払い・駆除頼みに来るなよ」――。集落内に放置された「くずみかん(収穫残渣)」の写真とともに、そんな怒りのつぶやきがSNSに投稿されていた。
収穫残渣はイノシシをはじめとする野生動物にとってはごちそう。これが無防
「ウソだろ…。追い払い・駆除頼みに来るなよ」――。集落内に放置された「くずみかん(収穫残渣)」の写真とともに、そんな怒りのつぶやきがSNSに投稿されていた。
収穫残渣はイノシシをはじめとする野生動物にとってはごちそう。これが無防備に放置されていることこそが、野生動物が集落に引き寄せられ、居ついてしまう根本原因だ。これを放置したまま追い払いや捕獲を行っても、獣害は解決しない。
投稿の主はそのことを知っているからこそ怒りを覚えたのだと思う。この状態が改善されなければ、追い払いや捕獲の担い手は嫌気がさしてひっそりとやめていってしまうかもしれない。実際、捕獲に取り組む私たちの仲間も、「やってくれて当然」という周囲の無理解に苦悩している。「まずは自分たちにできることをやってから依頼してほしい」と訴える方もいるほどだ。
集落の「ごちそう」は収穫残渣だけではない。稲刈り後の二番穂(ひこばえ)や、放置された柿や栗、びわ、お供え物などの「食べられても怒らない」ものも野生動物にとってはとても魅力的なエサだ。人間が無意識に餌付けを行っているのと同じなのだ。
加えて、藪や耕作放棄地などの「ひそみ場」がセットになると、野生動物にとって、さながら食事つきの高級ホテルのような場所になってしまう。
このホテルを廃業させる手立ては明確だ。収穫残渣は柵で囲った畑にすきこむ。二番穂が出る前にすきこむ。放置された果樹は伐採する。藪や耕作放棄地などは刈り払い、見通しの良い環境を作る――。
こうした無意識の餌付けやひそみ場をなくすことで、野生動物を近寄らせない集落にすることができる。獣害に悩む農家や住民にとって、柵を張るよりも、捕獲を頼むよりも先に取り組める対策だ。そして、自分たちにもできる対策を行ってこそ、捕獲の担い手を含めた地域ぐるみの対策と言えるはずだ。









