雪国・福井でバナナ栽培に挑戦 福井市・えじま農産
冬場には氷点下まで冷え込む日も多い雪国・福井で、南国作物のバナナ栽培に挑戦する生産者がいる。合同会社えじま農産(福井市)代表の江島尚希さん(64)だ。「越前ばなな」と名付けて通年出荷するバナナは輸入品よりも甘みが強く、もっちりとした食感が
冬場には氷点下まで冷え込む日も多い雪国・福井で、南国作物のバナナ栽培に挑戦する生産者がいる。合同会社えじま農産(福井市)代表の江島尚希さん(64)だ。「越前ばなな」と名付けて通年出荷するバナナは輸入品よりも甘みが強く、もっちりとした食感が特徴。県内の直売所などで人気を集めている。
ハウスに一歩足を踏み入れると、目の前に広がるのは南国の景色だ。高さ5㍍にも達するバナナの木が150本、8㌃の敷地に並ぶ。栽培する品種は「グロスミッチェル」。輸入品として広く流通する「キャベンディッシュ」より小ぶりだが、甘みが強いのが特徴だ。
元々は薬剤師として働いていた江島さん。定年を目前に控え「新しいことに挑戦したい」と選んだのが農業だった。栽培品目をバナナに決めたのは、散歩中にバショウ(バナナと同属)の木を見かけたことがきっかけだ。江島さんは「温暖化が進み、福井でもバナナが育てられるのではないかと考えた」と振り返る。
農業の経験はなかったため、2021年に県が運営する「ふくい園芸カレッジ」に入校。1年間農業の基礎を学んだ。その後は岡山県のバナナ農家で半年間研修を受け、23年10月に自己資金で建てたハウスにバナナの苗を定植。江島さんの挑戦がスタートした。
念願の収穫が始まったのは24年12月。青い状態で日曜日に収穫し、自宅に設置した熟成庫で熟成、翌金曜日に出荷して週末に販売するスタイルをとる。販売先は県内の直売所が中心。5~6本入りで600円と輸入品より割高だが、グロスミッチェル特有の甘みと有機栽培による安心感が評判になり、直売所の人気商品となっている。
栽培面で重要なのは、何よりも温度管理だ。15度を下回ると成長が止まってしまうため、冬場は暖房器具が欠かせない。今冬には燃料代だけで約200万円かかった。
経営を持続可能なものにするため、現在、夜間電力で作った温水をハウス内に循環させる設備を建設中だ。完成すれば燃料代は半分ほどに抑えられるという。
江島さんは「150本の木から順調に収穫ができれば、売り上げは700万円ほどになる。販売先さえ確保できれば、十分に経営は成り立つ」と説明する。
栽培に手間がかからないのもバナナの特徴。大きな葉で陰ができ雑草が生えにくいため、草刈りはほとんど不要だ。定期的な施肥と収穫が主な日常作業で、8㌃のハウスは1人で管理できるという。
江島さんは「栽培が軌道にのれば、もう少し栽培面積を増やす予定。危険な作業もないので、障がい者の雇用も検討したい」と先を見据える。












