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鳥インフルのシーズン到来 現場ではできうる最大の対策を

2026年10月09日
     
AIを活用したカメラ型野鳥撃退システム
防疫対策に取り組む林代表
レーザー搭載型ドローン
白田獣医師
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 近年、秋から冬にかけて鳥インフルエンザの発生が報道などで伝えられる。卵の安定供給を守るため、鳥インフルエンザ対策に取り組む現場の農家と同疾病に詳しい専門家に話を聞いた。


防疫対策万全にし卵の供給守る

千葉・匝瑳市 ㈲九十九里ファーム


 九十九里

 近年、秋から冬にかけて鳥インフルエンザの発生が報道などで伝えられる。卵の安定供給を守るため、鳥インフルエンザ対策に取り組む現場の農家と同疾病に詳しい専門家に話を聞いた。


防疫対策万全にし卵の供給守る

千葉・匝瑳市 ㈲九十九里ファーム


 九十九里浜に面した千葉県匝瑳市で最先端の鳥インフルエンザ対策に取り組むのは、㈲九十九里ファームだ。同社は、採卵鶏をこだわりの自家配合飼料で育て、育雛(いくすう)から成鶏までの一貫経営に取り組んでいる。


 千葉県は全国屈指の養鶏県で、採卵鶏の飼養戸数は91戸、飼養羽数は1400万羽を超える(2026年 畜産統計・農水省)。匝瑳市を含む県北東部も養鶏業が盛んな地域だが、近年も鳥インフルエンザが発生。そのため地域の養鶏農家の鳥インフルエンザに対する対策の意識は高い。


 同社でも衛生管理区域の設定や農場、畜舎の出入り口での消毒など、飼養衛生管理基準を徹底する。特に同基準に含まれる野生動物の侵入防止には新技術を導入し対策を講じる。農場の周辺は豊かな自然環境があり、水田や畑に囲まれ畜舎周辺の野鳥対策が課題となっていた。以前は花火や爆音機を活用して追い払いをしていたが、常時的には難しく、効果が限定的だった。そこでAIを活用した野鳥撃退システムとレーザー搭載型ドローンを導入した。AIを搭載したカメラを各農場の地上15㍍に配置。野鳥が活動する昼間に監視を行い、鶏舎周辺に近づいてきた場合は、レーザーを照射して忌避する。設置したレーザーの照射範囲から離れたところにいる野鳥はレーザー搭載型ドローンを飛ばし追い払う2段構えの対策をとっている。「これらの対策は野鳥対策には効果的」と林共和代表取締役は語る。


 また、塵埃(じんあい)対策についても力を入れる。鶏舎の換気方式が不良を起こさないよう配慮しながら、入気口にフィルターを設置、空気をろ過して塵(ちり)や埃(ほこり)を防いでいる。鶏舎の自動給気をするエアインレットに消毒液を噴霧、独自の取り組みとして鶏舎の外側に防風ネットをかけ、そこにも水の自動間欠細霧で常に濡らし埃の低減を図っている。


 林代表は「今年から消毒液の噴霧時間も長くし、噴霧間隔も短くする予定。万一、地域で鳥インフルエンザが出たら入気方式も変更する」と話す。また、「家畜保健所となんでも相談できる体制づくりも必要。防疫対策にコストがかかるのは辛いが、家畜保健所や仲間と協力して体制を整えて卵を安定供給できるようにしたい」と林代表は語る。


【経営概況】九十九里ファーム(グループ全体)=採卵鶏飼養羽数70万羽(成鶏・育雛・育成含む)、ネギ、飼料作物など合計20㌶、直売所3店舗を経営。従業員数100人。


各農場で自らリスク分析を

㈱ピーピーキューシー代表取締役社長 白田一敏(獣医学博士・獣医師)


 長年、鳥インフルエンザの発生事例や農場などの現場を回った経験と食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会の家きん疾病小委員会での委員として参画し、議論した経過を踏まえると、各農場にあった対策を行うことが重要と考える。


 当然ながら飼養衛生管理基準を徹底することは大前提である。しかし、農場ごとに鶏舎の構造も異なり、飼育管理技術も異なる。防疫措置にかかるコストを考えれば、すべての養鶏農家が全く同じ対策を行うことは難しいのが現状だ。


 昨年の鳥インフルエンザの発生事例を分析すると、入気口付近での死鶏なども確認され、埃などを通してウイルスが入気口から入った可能性も疑われる。物理的に遮断するフィルターや防風ネット、塵が舞わないようにする消毒液の噴霧などは感染リスクの低減に非常に有効と考える。万一、地域で発生した場合には、入気の対策などを行うのは必要だ。


 自分の農場をみて問題点を洗い出し、リスクが高いところを重点的に対応するなど、分析が重要。専門家を入れて助言を求めることも検討するとよいだろう。


農水省

大規模農場は分割管理と塵埃対策の検討を


 農水省は9月1日、宮城県で今シーズン初めてとなる渡り鳥の飛来が確認されたことを受け、鳥インフルエンザのシーズンが到来したとして警鐘を鳴らす。早期発見・早期通報、飼養衛生管理の徹底を呼び掛けている。


 25年の飼養衛生管理基準の改正で、発生リスクの大きい20万羽以上の大規模農場には分割管理の導入検討と塵埃対策についても義務化された。分割管理は農場内を複数の区域に分けて管理するものでその導入の検討、塵埃対策については26年10月1日から施行とし、鶏舎の立地や構造、気象状況などに合わせて各農場で慎重に検討し、実施できる対策を行うこととされている。


 過去に複数事例発生している地域や家きん農場が密集している地域を農水大臣が指定する「大臣指定地域」の制度も始まった。同地域は今年44地域指定され、地域内では平時から消毒薬の備蓄や緊急時に備えた塵埃対策機材の準備、野鳥誘引防止対策が求められている。


 野鳥については、特にカラス類が同病を農場内に持ち込む要因としてあげ、レーザーの活用や地域一体となった対策が重要としている。

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