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事業承継相談Q&A

Q:事業縮小の判断は正しかったのでしょうか

2026年04月17日

Q:先代から事業承継を受けましたが、環境の変化を受け事業を縮小しました。本当は守るべきだったのではと考えてしまいます。


回答者:神奈川・藤沢市 (株)みやじ豚 代表取締役社長 宮治勇輔氏


A:その迷いは、とても自然な感覚だと思います。先代が積み

Q:先代から事業承継を受けましたが、環境の変化を受け事業を縮小しました。本当は守るべきだったのではと考えてしまいます。


回答者:神奈川・藤沢市 (株)みやじ豚 代表取締役社長 宮治勇輔氏


A:その迷いは、とても自然な感覚だと思います。先代が積み上げてきたものを、自分の代で手放す。これは簡単に割り切れる話ではありません。

 以前、ある豆類の産地で自社生産と周辺農家から買い上げたものを卸売りしている会社の後継者と話をしました。気候変動により不作が続き、生産量は年々不安定になっている。先代が生前「これが続いたら厳しい」と言っていた状況が、現実になっていました。

 「これからどうしていくべきか…」後継者は悩んだ末、豆の加工・商品開発部門を事業譲渡し、会社を縮小する決断をしました。ちょうど、先代とは別の新ブランドを立ち上げ、強化していくタイミングでもありました。ただし、先代の頃よりこの部門で働いてくれている従業員の移籍先を整え、取引先にもしっかり販路まで引き継いでのことです。逃げたわけではないのです。関わる人の〝次〟まで責任を持って、会社のカタチを選び直したのです。

 これは負けでも失敗でもありません。むしろ、経営者として覚悟のある判断です。

 事業承継というと、「先代のやってきたことをそのまま守ること」だと思われがちです。でも、これから20年、30年と経営していくのは後継者です。時代も環境も変わる中で、自分に合った形、時代に合った形に組み替えていく。それが本来の事業承継です。

 事業の再編や縮小が必要であれば、していいのです。

 大事なのは、その判断が「自分の都合」ではなく、「関わる人の未来」まで考えたものになっているかどうかです。そこに胸を張れるのであれば、その決断は間違っていません。守るとは、同じ形を続けることではない。次の時代につながる形に、自分の手でつくり直すことです。◇次回は5月22日付

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