農地と太陽光発電の共存について考える⑨ 弁護士・岩崎紗矢佳

2026年08月07日

 農地と太陽光発電は共存できるのか。農地を転用せず営農しながら発電していく営農型太陽光発電はまさに共存できる。

 

 ただ、この問いの真の意味は、「農業で農地を守ることができるのか」つまり、耕作により農地を維持・保全する方法で、農業者は生計を維

 農地と太陽光発電は共存できるのか。農地を転用せず営農しながら発電していく営農型太陽光発電はまさに共存できる。

 

 ただ、この問いの真の意味は、「農業で農地を守ることができるのか」つまり、耕作により農地を維持・保全する方法で、農業者は生計を維持できるのかである。現金収入が少ない農業の構造で、農地を転用・換価対象資産と捉えず、本来の農地としての使い方をして価値を見いだすことができるのか。できないから転用や売却をして、その農地が太陽光発電施設となる。その意味で農地と太陽光発電は二律背反の関係にあり共存しないのではないかと考えていたのである。そして、営農型太陽光発電という方法で、物理面でも経済面でも両者は共存できるというのが筆者の答えである。


 これまで解説してきたように、正しい方法で営まれている営農型太陽光発電は、売電で現金収入が期待できる一方で、農地は農地として維持・保全されていく。さらに、農業者自身が発電から営農まで全てを行うのではなく、発電部分を農業者以外が担うことによりその農業者以外、場合によっては地域外の者からの資金の流れが生まれる。その資金が個人によるものであれば関係人口を増やし、定住者が生まれることを期待できる。人が集まればコミュニティができ、仕事や産業が生まれ、地域活性化・再生の糸口となる。営農型太陽光発電は農村が再生する一歩となりうる。


 最後に、太陽光発電によるエネルギー自給は、非常な強みである。現在および将来の国民のための限られた資源、地域における貴重な資源である農地が、食料生産に加えエネルギー供給基盤にもなるのである。「戦時中に都心のお金持ちのご婦人が、上等な着物を大切に抱えて当地を訪れ、この着物と野菜を交換してもらえないかと申し出られた」と東京多摩地域の高齢農家から聞いた。自給ができるとはそういうことである。


 営農型太陽光発電は、農地と農業と農村の再生と持続可能性をもたらす存在であると思う。


 この項はおわり

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