Q:アイデアは誰が出している? A:みんなで考える場所を作ろう

2026年08月07日

Q:いろいろ新しいことをされていますが、アイデアは誰が出すのですか?


回答者:広島・三次市 (有)平田観光農園 代表取締役社長 平田真一氏


A:若いスタッフから提案があったらどうしていますか? 今まで通りでうまくいっているから、と門前払いしてい

Q:いろいろ新しいことをされていますが、アイデアは誰が出すのですか?


回答者:広島・三次市 (有)平田観光農園 代表取締役社長 平田真一氏


A:若いスタッフから提案があったらどうしていますか? 今まで通りでうまくいっているから、と門前払いしていませんか? たしかに私たちとスタッフでは、考える深さや気合いが違うので、物足りないと感じることも多いでしょう。でもそれでは前に進まないので、新しいアイデアを出す場所、みんなで決める場所を作るのです。


 まず大切なのは「栽培」と「販売」で頭を切り替えること。作物を育てるときの論理的な思考と、お客さまのニーズを想像する共感的な思考は使う脳が違います。私たちは会議もあえて「栽培」と「販売」に分けて行っています。販売会議では「この野菜を食べるのはどんな人か」「どんな悩みを解決できるか」という問いを起点にすると、現場の視点がガラリと変わります。


 次に、「売ること」を考える時間を作ることです。多くの農家は栽培に追われるあまり、販売や顧客との対話を後回しにしがちです。週に一度、たった30分でも「売り方を考える時間」を作る。それだけでSNSの発信内容や販売のアイデアが広がります。


 チームのアイデアを引き出す工夫も欠かせません。若いスタッフほど、経験のある上司の前では発言をためらいます。そこでおすすめしたいのが「無記名のアイデア箱」です。ルールは一つ、「小さな改善案を一枚書いて入れるだけ」。大きなアイデアを求めないのがコツです。「袋のデザインを変えたらどうか」「直売所の陳列を変えてみては」。そんな小さな気づきが、やがて大きな変化につながります。


 正解のない時代だからこそ、チーム全員の視点を集める仕組みが強みになります。成功体験は大切な財産ですが、それに縛られず、お客さまの顔を思い浮かべながら、今日も畑に立つ。そのしなやかさこそが、これからの農業者の最大の武器ではないでしょうか。


◇次回は9月4日付

有料会員に登録すると会員限定の有料記事もお読みいただけます