注目集める再生二期作 加工原料用米不足の解消へ 農研機構・関東殻粉




2023年の猛暑による流通量の減少や、インバウンド需要の増加などが引き起こしたとされる令和の米騒動。主食用米不足のあおりを受け、味噌や米菓、酒などの原料になる原料用米も不足するなど、その影響は広範囲に及んだ。そんな中で注目を集めて
2023年の猛暑による流通量の減少や、インバウンド需要の増加などが引き起こしたとされる令和の米騒動。主食用米不足のあおりを受け、味噌や米菓、酒などの原料になる原料用米も不足するなど、その影響は広範囲に及んだ。そんな中で注目を集めているのが、ひこばえ(二番穂)を実らせて収穫することで栽培面積当たりの収量増加をめざす水稲の再生二期作。同技術を確立した農研機構では現在、加工原料用米の製造・販売などを手がける関東穀粉㈱(茨城県行方市)とタッグを組み、技術の普及に取り組んでいる。
飯米から加工原料用米の精米・販売など、幅広く米を取り扱っている関東穀粉。再生二期作に着目したのは「原料となる米を安定的に仕入れたい」という思いからだった。同社品質保証室の坂本聖一さんは「原料に使う米には特定米穀(ふるい下米)なども含まれるので、元々供給に不安定な面があった。そこに今回の米不足が重なったこともあり、実需者へ安定的に原料米を届ける方法を模索していた」と説明する。
農研機構との連携がスタートしたのは24年。技術の第一人者である同機構の中野洋主席研究員(現・技術適用研究チーム長)を訪ねたことがきっかけだ。JAや生産者への技術導入の説明は同社が、技術指導は中野さんが担う体制を作り、普及に取り組んでいる。25年度は千葉や茨城など関東を中心に六つの地域の協力を受け、合計30㌶で再生二期作が実践された。中野さんは「技術を導入しても、その米が売れないことには意味がない。普及をめざす段階から実需者と連携する意味は大きい」と話す。
両者の目標は、5年間で技術を社会実装させること。この2年間は最初のステップとして、栽培技術の安定化に力を入れてきた。同機構が「にじのきらめき」を用いて福岡県で行った試験では多収(一期作・二期作合計で10㌃当たり約950㌔)に成功したが、今回の取り組みは地域が異なる上、産地ごとに作りたい品種も異なる。各地の気候や品種にあったやり方を生産者とともに模索している段階だが、二期作目の収量は10㌃当たりで180㌔程度を実現しているという。
26年度からの3年間は、品質面の評価やコストの検証なども行っていく予定だ。同機構の試験では、二期作目の炊飯米の食味が一期作目と遜色ないことを確認しているが、加工用米としての適性などは未知数。中野さんは「実需者の評価を聞きながら、それを生産者にフィードバックすることで、ニーズに合った品質の米を作るサポートをしていきたい」と話す。
昨今のように米不足に陥った場合や、輸出の拡大、農業者の減少が見込まれる将来を見据え、主食用米としての活用も視野に入れている。坂本さんは「幅広い品質の米をさまざまな用途に活用できるのが当社の強み。産地や実需者と一体となって、技術の普及を進めていきたい」と意欲を見せる。
二期作目の資材費3分の1
茨城県つくば市で水稲約25㌶を経営する加園秀信さん(76)・宏則さん(48)親子は、同社からの依頼を受け24年から再生二期作に取り組んでいる。25年産は約70㌃で同技術を導入し、二期作目は10㌃当たり184㌔を収穫。二期作目は育苗にかかる培土や薬剤、移植後の除草剤などが不要になり、面積当たりの資材費は一期作目の3分の1に抑えられた。
二期作目を確実に収穫するためのポイントとして宏則さんがあげるのが「カメムシ対策」。対策が不十分だった24年産の収量は25年産の6分の1ほどだった。
収量を高めるには「移植を早め(4月中)に行うこと」と「一期作目を高刈り(40㌢)すること」が必要とされる中、自脱型コンバインしか持たない加園家では後者が課題だ。高刈りを意識しすぎると一期作目の収量が落ちてしまうため、コンバインの様子を見ながら20㌢前後で刈り取るようにしている。
足元では米の需給緩和もささやかれているが、宏則さんはそうした状況でも必要な技術だと考えている。「農家の経営を考えれば通常の米はある程度の価格設定が必要。一方で、コストのかからない二期作目の米を低価格で流通させることができれば、米離れを食い止めることにもつながるのでは」と期待を寄せる。








