人口減少社会と地域おこし協力隊制度が担う役割④
地域おこし協力隊の成果というと、起業や新商品の開発、観光客の増加など、目に見える成果が注目されることが多いと思います。しかし、地域づくりの現場では、それ以外にも大切な変化があります。それは、地域の人たちの意識に変化が始まっていくことです。
地域おこし協力隊の成果というと、起業や新商品の開発、観光客の増加など、目に見える成果が注目されることが多いと思います。しかし、地域づくりの現場では、それ以外にも大切な変化があります。それは、地域の人たちの意識に変化が始まっていくことです。
ある地域では、隊員は着任してまずは地域を歩き、人と出会い、話を聞くことから始めました。イベントがあれば顔を出し、地域の会議にも参加する。目的は、自分を知ってもらうことだけではなく、地域の人がどのような思いを持ち、何を大切に暮らしているのかを知ることでした。そうした日々の積み重ねのなかで、小さな声が聞こえてくるようになります。「こんなことができたらいいね」「昔はこんなことをしていた」「やってみたい気持ちはあるけれど、一人では難しい」――。隊員は、その声を拾い上げ、地域の人と一緒に小さな活動として形にしていきました。
興味深いのは、その活動の多くが、最初から完成形を描いていたわけではないことです。地域の人たちと一緒に手を動かし、会話を重ねるなかで、「こうしたらもっと面白い」「これも加えてみよう」と新しいアイデアが生まれていく。活動は隊員が主導したのではなく、地域の人たちの発想によって少しずつ育っていったのです。やがて、その取り組みを見た別の住民が加わり、地域の仲間が新たな役割を担い始めます。最初は一つの小さな活動だったものが、人と人とのつながりを広げながら、新しい地域の営みへと発展していったのです。この変化は、移住者数や売上高のように明確な成果として表れるものではありません。しかし、「自分も参加してみよう」「少し手伝ってみよう」という思いの変化が地域のなかで連鎖していくことは、地域づくりの立派な成果なのです。
地域おこし協力隊制度は、地域が自ら変わろうとするきっかけを生み出す制度としての側面があります。その小さくとも確かな変化は、一過性の出来事ではなく、地域に根付く力へと変わっていきます。
@総務省 地域おこし協力隊アドバイザー 鍋島 悠弥








