特定外来生物の生態と防除対策③ (一財)自然環境研究センター 浅野真輝


リスといえば「かわいい」「森のアイドル」といった好印象を持つ人が多いだろう。しかし、特定外来生物であるクリハラリスによる被害は「かわいい」とは言い難い。
アジア南部原産のクリハラリスは、観光施設における展示動物としてよく利用され、いわゆる
リスといえば「かわいい」「森のアイドル」といった好印象を持つ人が多いだろう。しかし、特定外来生物であるクリハラリスによる被害は「かわいい」とは言い難い。
アジア南部原産のクリハラリスは、観光施設における展示動物としてよく利用され、いわゆる「リス園」が全国各地に作られた。旅先でリスとの触れ合いを楽しんだ経験がある人もいるだろう。現在国内に定着しているクリハラリスは、こうしたリス園などからの逸走に由来すると考えられており、関東以南で散発的に生息が確認されている。ちなみに、クリハラリスのうち、台湾に生息するものを「タイワンリス」と呼ぶ場合もあり、こちらの方が聞きなじみのある人が多いかもしれない。
クリハラリスによる農作物被害の代表例として、柑橘類などの果樹被害が挙げられる。たわわに実ったミカンやユズを樹上でかじって食べるのだ。また、シイタケほだ木の被害も知られており、ほだ木の中に潜む昆虫を食べるため、かじって粉々にしてしまう。冬季には、樹液をなめるために、ツバキなどの常緑樹の樹皮を環状にかじりとる。被害木は枯死してしまうこともある。農業被害以外にも、電線をかじってショートさせるといった生活被害も生じさせている。とにかく、自慢の前歯であらゆるものをかじり、被害を出している。
クリハラリスは木登りがうまく、体が小さいため、ネットなどによる侵入防止対策はあまり効果がない。一方、比較的捕獲しやすく、小型のカゴわなで容易に捕獲できる。餌にはナッツ類や柑橘類といったクリハラリスが好むものを使用する。力が強いため、わなに太めの針金でストッパーを付けるなど、工夫できると良い。クリハラリスは捕獲すればするだけ減らすことができる。熊本県の宇土半島では、積極的な捕獲により根絶目前まで生息数を減らしている。
クリハラリスの分布は限られているが、地域によっては分布が拡大しており、これに伴い被害発生地域も拡大するおそれがある。被害拡大を防ぐためにも、積極的に捕獲を進めるべきである。








